1 概 要
①懲戒処分の種類は、免職、停職、減給、戒告の4つがある。
②懲戒処分の事由は3つに分類される。
2 懲戒処分の種類
懲戒処分は、公務員としての義務違反、公務員としてふさわしくない非行がある場合に、その責任を確認し、科される制裁です。懲戒処分の種類は、重い処分から軽い処分の順番に、免職、停職、減給、戒告の4つとなります。その内容は、以下のとおりです。
(1)免職
職員を懲罰として勤務関係から排除する処分です。懲戒免職の場合は、退職手当の全部または一部が支給されない、年金も減額されますが、分限免職の場合にはこうした不利益はありません。
また、懲戒免職処分の日から2年間は当該地方公共団体の職員となることはできません。
(2)停職
職員を懲罰として職務に従事させない処分です。分限処分の休職も同様ですが、その目的は公務能率の維持にあり、道義的に非難するものでありません。
しかし、懲戒処分の場合は、職員の道義的責任を追及するための制裁です。停職の場合は給与が支給されませんが、休職の場合は給与の全部または一部が支給されます。
(3)減給
一定期間、職員の給料の一定割合を減額する処分です。
分限処分の降給も給料が減額されますが、これは給料の基本額そのものを変更するものです。これに対し、減給は基本額を変更しない一時的な減額で、一定期間が経過すると、元の給料額に戻ります。
(4)戒告
職員の規律違反の責任を確認し、将来を戒める処分です。なお、戒告に至らないような軽微な義務違反については、訓告、口頭注意などが行われますが、こうしたものについては特に決まったものはなく、各自治体によって様々です。
3 懲戒処分の事由
懲戒処分の事由は、次の3つがあります。
①地方公務員法、特例法、これに基づく条例・規則・規程に違反した場合
これは、具体的には地方公務員法第3章第6節に定められている服務の規定、地公法57条に基づく特例法、地公法・特例法に基づく服務に関する条例・規則その他の規程に違反した場合が該当します。
また、地公法32条には、法令等および上司の職務上の命令に従う義務が規定されていますので、地方公務員法・特例法以外の法令に違反したときも懲戒の対象となります。
②職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
これは、先に述べた地公法32条の法令等および上司の職務上の命令に従う義務に基づくものです。また、職務を怠ることは、職務専念義務を定めた地公法35条および30条に違反することとなりますので、①の法令違反の事由に該当することになります。
③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
これは、地公法33条の信用失墜行為の禁止の規定に触れることになりますので、①の法令違反の事由に該当することになります。どのような行為が全体の奉仕者としてふさわしくないかということは、汚職などの極めて明白な場合の他は、社会通念上判断されるものとされています。
4 懲戒処分の手続と効果
懲戒の手続および効果は、法律の定めがある場合のほかは条例で定めなければなりません。また、懲戒処分も書面を交付して行わなければならないとされています。
コメント