27 勤務時間

地方公務員法

1 概 要
①勤務時間の原則は、1日8時間、1週間40時間。
②勤務時間の特例には、変形労働時間制などがある。

2 勤務時間の原則
勤務時間とは、地方公務員が勤務する地方公共団体に対して勤務を提供すべき時間をいいます。勤務時間は、条例によって定められ(地公法24条5項)、かつ労働基準法が適用されます(地公法58条3項)。労働基準法では、実働の労働時間は1日については8時間、1週間については40時間を超えてはならないことが原則とされています(労基法32条)。

国家公務員の勤務時間は「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」により、1週間あたり38時間45分、1日につき7時間45分とされていますが、地方公務員についても国家公務員に準ずべきとされています。

しかし、職務の特殊性または勤務場所の特殊性により、1週間あたり38時間45分、1日につき7時間45分の勤務時間を超えて勤務することを必要とする職員の勤務時間については、人事委員会の承認を得て、別に定めることができるとされています。これは、いわゆる変形労働時間制の採用を可能とするものです。

3 勤務時間の特例
 勤務時間の特例には、次のようなものがあります。
(1)変形労働時間制
 1日については8時間、1週間については40時間が勤務時間の原則となりますが、勤務時間を弾力的に運用する変形労働時間制があります。例えば、電車やバスの乗務員、公立病院の看護師などの勤務があります。

変形労働時間制には4種類あり、以下のようになっています。
①1か月単位の変形労働時間制
 1か月以内の一定の期間(例えば4週間)を変形労働時間の単位期間として、1週間当たりの平均勤務時間が40時間以内であれば、1日8時間、1週40時間を超えて勤務することができるようにするものです。

②フレックスタイム
 始業・終業時刻を労働者の決定に委ねるもの。

③1年単位の変形労働時間制
 変形労働時間の単位を1年以内とするもの。

④1週間単位の非定型変形労働時間制
 日ごとの業務の繁閑の差に対応する場合、1日について10時間まで労働させることができるようにするもの。

(2)管理監督職員等の特例
 監督もしくは管理の地位にある職員または機密の事項に従事する職員は、その勤務内容から勤務時間を特定することが困難なため、勤務時間の原則は適用されません。

(3)公益上の必要に基づく特例
 特定の事業で、公衆の不便を避けるために必要な場合に認められる勤務時間の特例です。具体例として、列車乗務員の予備の勤務(臨時に常務するため一定時間待機する勤務)は、あらかじめ日または週を特定しておくことは困難となりますが、こうした場合に1日8時間、1週40時間を超えて勤務することを可能とするものです。

(4)監視または断続的勤務の特例
 勤務の負担が比較的軽い監視の業務に従事する職員および労働の密度が比較的薄い断続的労働に従事する職員について、勤務時間の原則を適用しないことができます。具体例としては、守衛、学校の用務員、庁用自動車の運転手などがあります。

(5)その他
 その他としては、①災害等の場合の特例、②公務上の臨時の必要に基づく特例、③三六協定に基づく特例、④農水産業などに従事する職員の特例、などがあります。

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