1 お悩み
先日、勤務する幼稚園で事故がありました。複数の園児たちがシーソーで遊んでいたのですが、勢いよく地面に着いた瞬間に、一人の園児が放りだされて、頭を打ってしまったのです。慌てて病院に連れていきましたが、幸い軽傷で済みました。その後の会議で、園長は「職員の意識の徹底を」と言うのですが、口先だけで根本的な解決になっていないように思うのです。どのように考えたら良いでしょうか。
2 解決法
1つのトラブルから潜在的な問題を発見する、ハインリッヒの法則を知りましょう。
ハインリッヒの法則とは、労働災害に関連して発表されたもので、1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故があり、さらにその裏には300件の異常、つまりヒヤリハット(ヒヤリとしたり、ハッとしたりする危険な状態)があるとするものです。「1:29:300の法則」とも言います。
これは、多くの人が経験していると思うのですが、職場で発生した事故は、たまたまその事故が表に出てきたに過ぎず、実は、その事故が発生する下地は以前からあった、ということは少なくありません。
本来であれば、この事故が発生する前に、そうした兆候に気付いて、いち早く対応することが求められます。しかし、実態としては、事故が発生してからようやく対応することが多いわけです。
事故を未然に防ぐには、そもそもヒヤリハットが起きないようにすることが重要です。また、もしヒヤリハットが発生した場合には、確実に情報を把握し、できるだけ早く的確な対策を講じることが必要です。このように、職員としては、日頃からヒヤリハットに敏感になり、事故防止につなげる意識が大事になります。
3 活用例
①住民とのトラブル
上記の例にあるように、ハインリッヒの法則は、事故だけでなく顧客対応にも応用されます。1件の重大トラブルの裏には、29件の経度のクレームがあり、さらにその裏には300件の顧客の不満があるのです。
自治体の住民対応にも、当てはまります。大きなトラブル、広聴部門の寄せられるクレームなどがあれば、背景などを考える必要があります。
②職場のコンプライアンス
書類の改ざん、通勤手当の不正受給など、職員のコンプライアンスにも、ハインリッヒの法則は応用されます。住民の信頼を損なるような、1件のコンプライアンス違反の背後には、不祥事の芽となる多数のヒヤリハットが隠されていると考えます。
4 ワンポイントアドバイス
アメリカの損害保険会社にいたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが労働災害を統計学的に分析して、この法則を導き出しました。
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