20 文書・資料作成のスキルアップ法

文書・資料作成術

これまで文書・資料の作成方法について、説明してきました。最後に、実務の中で皆さんがスキルアップするためには、どのような点に注意したら良いかをまとめます。

第一に、数多くの文書・資料を作成することです。なかなか慣れない間は、1つの文書・資料を作成するだけでも大変かもしれません。しかし、最初のうちはとにかく数をこなさないと、とても書く力は身についてきません。ただし、これはどこの職場なのかも大きく影響します。

調査・研究部門のような部署では、一日中、文書・資料を作成していることもあります。一方で、住民対応の窓口部門では、あまり作成の機会は少ないかもしれません。しかし、書く力をつけるためには、まずは数多くの文書・資料を作成することが大事になります。

第二に、読み手の評価を確認することです。文書・資料は、読んでもらってこそ存在価値があるものです。日記のように、他人に見せることを目的としていないものとは異なります。このため、作成した文書・資料については、積極的に読み手に感想を聞きましょう。「これでわかりました?」「修正した方が良い部分はありますか?」などと尋ねれば教えてくれるはずです。

ただし、読み手の評価をすべて受け入れる必要はありません。自分が納得できたものだけを反映すれば良いのです。なぜなら、読み手の感想でも、「そう言うけれど、自分はそう思わないな」と考えることがあるからです。そうしたものは、自分が納得していないので、無理に修正しても、自分の実力にはならないのです(ただし、上司からの修正指示は別です。素直に修正しないと、トラブルになるはずです…)。

実は、この読み手の評価を十分に確認していないことが多いのです。これでは、文書・資料をつくりっぱなしで、何ら改善につながらず、実力向上にはつながりません。以前に触れたP D C Aサイクルになっていないのです。

かつて、文書・資料の研修講師を行っていることに触れましたが、研修生の感想で多いのもこの点です。研修では、作成した文書・資料について2人1組で評価し合ってもらっています。そうすると、「今まで、このような機会がなく、自分勝手な資料を作成していたことがわかった」との感想が必ずあるのです。やはり読み手の評価は、文書・資料の改善のためには重要です。

第三に、自分が良いと思う文書・資料のサンプルを集めることです。これは、市販の書籍はもちろんのこと、サイトに掲載されているもの、職場にある過去の文書・資料、会議資料など、いろいろあります。これらをストックしておくと、役に立ちます。

公務員にとって、文書・資料は欠かせないものです。文書・資料の内容で、仕事の進み方が全く変わってしまうこともあります。最初は大変かもしれませんが、ぜひスキルアップを目指して取り組んでください。

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