1 概 要
①地方債を借入先(貸し手)で分類すると、大きく公的資金と民間等資金に分類することができる
②地方債を発行形式で分類すると、証書借入と証券発行に分類することができる
2 公的資金と民間等資金
地方債を発行する、つまり借金をする場合に、どこから借りるかということで分類することができます。この分類は、国内資金(国内から資金調達する)と国外資金(外国から資金調達する)の2つに分類できますが、中心は国内資金となります。
国内資金は、大きくは公的資金と民間等資金の2つに分類することができます(実際には、もっと細かく分類することができますが、わかりやすくするため、ここではその他の分類については割愛します)。
公的資金とは、政府の資金を活用するなど、文字通り公的な資金であり、民間等資金とは銀行などから借り入れることを言います。
公的資金には、大きく2つのものがあります。1点目は、財政融資資金です。これは、国が国債を発行して資金を集め、その資金を自治体に貸し付けるものです。この国債のことを財投債といいますが、財投債は国債の種類の1つです。
なお、財政投融資とは、財務省HPには次のように説明されています。
①租税負担に拠ることなく、独立採算で、
②財投債(国債)の発行などにより調達した資金を財源として、
③政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・固定・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動(資金の融資、出資)です。
つまり、簡単にいえば、財政投融資資金とは、自治体の施設建設などを行う際に、国債で集めた資金を活用すること、ということになります。
公的資金の2点目は、地方公共団体金融機構資金です。地方公共団体金融機構は、地方公共団体金融機構法という法律に基づき、全自治体の出資を受けて2008(平成20)年に設立された地方共同法人で、自治体のみを対象として資金の貸付けを行っています。
地方公共団体金融機構は、地方公共団体金融機構債(地方金融機構債)を発行して、資本市場から資金を調達し、自治体に資金を供給しています。自治体から見れば、公的資金を活用できる借入先の1つとなります。
なお、機構は単に自治体に貸付を行うだけでなく、自治体で出前講座の実施や、資金調達に関する助言などの実務支援も行っています。
これら公的資金については、自治体に貸付を行うといっても、それで収益を上げることが目的ではありませんので、自治体から見れば基本的には長期・低利の資金を安定的に提供してくれることになります。なお、公共性が高いことから対象事業にも一定の制約があります。
一方、民間等資金は公的資金とは性格が異なりますので、必ずしも低利とは限りません。民間等資金には大きく2つあります。1つは市場公募資金といい、債券市場で投資家を募り、資金を調達するものです。もう1つは、銀行等引受資金といい、金融機関などから借り入れるものです。
3 証書借入と証券発行
地方債の発行形式には、証書借入と証券発行の2種類があります。証書借入は、自治体が借入先(貸し手)に対し借用証書を渡して借り入れるもので、財政融資資金や機構資金ではこの方法が取られています。
また、証券発行は、地方債証券を発行し、金融機関などの借入先(貸し手)から資金を借り入れるもので、市場公募資金ではこの方法が用いられています。
証券発行は、金融機関などの貸し手がその証券を他の投資家に売却するなど、証券が流通することを想定していますが、証書借入の場合はそうしたことを前提としていません。
このため、もともとの貸し手が他の人に売却した場合、借り手である自治体に譲渡を認めてもらわないと、買い手は新たな債権者であることを自治体に主張できません。
コメント