19 とにかくケチをつける人

困った公務員の傾向と対策

この世には、とにかくケチをつけるという人種が存在します。以前に、常に不平・不満を言う人のことを書きましたが、これとは異なり、人の言うこと、やることに何かとケチをつけるのです。

例えば、新人職員がようやく仕事を覚えてきて、初めて起案文書の作成を行ったとします。この時に、そのまま係長に提出することに躊躇があったために、前任者の先輩のところに「すみません、この内容で間違っていないか、確認していただけますか」と見せにいきました。

すると、その先輩は一見して間違っていないことがわかりました。しかし、わざと「うーん、だいたい良いんだけど、ちょっと、あれかな……」などと言い、起案文書にケチをつけます。実際には、間違ってもおらず、問題点として指摘するほどの内容でもないのにも関わらずに、です。そうです、先輩は自分の威厳を見せつけるために、あえてどうでも良いことを指摘するのです。

別な例もあります。ある係長が、課長から新規事業としてイベント案の作成を依頼されていました。ようやく案が出来上がり、課長のところへ見せに行きます。すると、課長は言います。

「なぜ、集客数を500人と見込んでいるんだ?」、「A地区ホールで開催するとあるが、B地区の市民は参加しづらいのではないか」、「司会は、職員よりもタレントの方が良いのでは」などと並べ立て、挙句の果てには「この案で、私が議員に苦情を言われたら、どうすれば良いのか」などと言う始末です。

つまり、とにかくイベント案にケチをつけるのです。課長としては、「失敗したらどうしよう」と、とにかく石橋を叩こうとするわけです。しかし、当然のことですが、すべての人が満足するイベントなどはできないのです。そうです。これは、課長は自分の身を守るために、とにかくあれこれとケチをつけているのです。

このように、「自分を良く見せたい」、「他人から苦情を言われたくない」ために、部下などに対してケチをつける人は、結構います。公務員のあるあるとしては、会議が始まると、会議の内容ではなく、とにかく資料のあら探しばかり発言する人がいます。ご自身は正義のつもりかもしれませんが、会議自体はいっこうに進行せず、周囲の人はただただ呆れ顔になるだけです。

さて、このような「とにかくケチをつける人」には、どのように対応したら良いでしょうか。先程の係長の例ならば、ケツをまくるのも1つの方法でしょう。「そんなに言うなら、課長がイベント案を考えてくださいよ」と言えれば良いのですが、そうすると「それを考えるのが、係長の仕事だろ!」と対立が生じてしまうかもしれません。

このため、「課長、すみません。自分の能力では、これが精一杯です。申し訳ないのですが、課長のお知恵を借りたいのですが……」とわざと下手に出ます。そうすると、課長はいい気になって、「では、集客数は400人妥当だな……」などと意気揚々に話し出します。

そこで、すかさず「しかし、イベントが話題になって、大勢の住民が押し寄せたら、どうしますか」などと、今度はこちらが「とにかくケチをつける人」になって、優しく課長をいたぶってあげます。先程受けたケチへの、ささやかなお返しです。せっかくなので、同じ目に遭ってもらいましょう。

他の困った公務員への対応方法も同様ですが、感情的になって、相手と対立しても問題解決には、なかなかつながりません。やはり、ここは冷静になって、切り返した方が得策でしょう。ただ、人によっては、実は怒ってもいないのに、「では、どうしろと言うんですか!」とわざと大声を上げて、上司をビビらせるという荒業を繰り出す御仁もいるようです。こうなると、既に業師の領域です。

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