議員の質問の中には、質問という形を取りながらも、ただ自分の主張を述べるだけというものもあります。つまり、基本的には執行機関の答弁を期待しているわけでなく、ただ、自説を述べたいというものです。
本会議であれば、傍聴する住民(その中には、議員本人の支持者がいる場合も、当然あります)に対して、ある程度の時間をとってアピールできることになります。それを考えると、選挙近くなって、駅などで流れる人の前で話すよりも、効果的なのかもしれません。
本会議という公の場で、一定の時間を確保し、しかも質問という正式な発言になるわけです。日頃、なかなか住民に聞いてもらえない自分の思いを述べることができるということは、やはり貴重なはずです。ただ、こうした場合でも、質問という形式を取りますから、何かしらは執行機関に尋ねることは必須です。
例えば、コミュニティバスについて質問するとします。この場合、地域住民からの要望はもちろんですが、議員本人の考えを多くの時間を割いて語りました。議員のねらいは、自分の考えを聞いてもらうことにあるからです。ただ、最後に「本市のコミュニティバスに対する考えをお伺いします」と付け加えれば、質問としては何らおかしくありません。
こうした自己主張型の質問に対する答弁は、執行機関にとってはあまり苦になりません。そもそも、議員も答弁に期待していないからです。このため、ある意味では執行機関は、一般的なコミュニティバスに対する考えを述べればよいからです。
ただ、こうした自己主張型であっても、当局の答弁を期待することも稀にあります。この場合、自己主張の内容が個性的であるほど、答弁を作成するのは難しくなります。加えて、それがベテランの与党系議員の場合は、余計に大変です。
いい加減な答弁をしては、後で問題になるのは言うまでもありません。しかし、だからと言って、積極的な答弁ができる内容でもないからです。こうしたケースに悩んだことのある管理職は、全国に大勢いるはずです。
これもまた、管理職の腕の見せ所になります。議員の発言を持ち上げたり、かわしたりと、様々な技術が求められるのです。
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