指示が曖昧な人も、これまた困った人です。指示するのは、一般に上司が多いのですが、同じ職場の同僚、たまたま選挙事務やPTなどで一緒になった職員などの場合もあります。
こうしたタイプは、そもそも使っている用語に問題がある場合があります。その典型的な例は、「なるはや」と「今日中」です。ご存じかと思いますが、「なるはや」とは、「なるべく早く」です。急に上司から、「悪いけど、この資料を急いで作ってくれる」と言われることがあります。この際、「いつまでに完成させれば、よろしいですか」と確認すると、「なるべく早く」と言われることがあります。
しかし、これは混乱の元です。「他の仕事を止めて、最優先に作成しろ」なのか「今日の終業時刻までに」かなど、具体的な締切が不明だからです。このため、この用語を使っている時点で、その上司の力量には疑問符が付いてしまいます。
また、「今日中」も同様です。一般的に、「今日中」は「今日の終業時刻までに」を指すことが一般的です。しかし、稀に職員によっては、「俺が残業を終えて帰るまでに」や、財政課職員であれば、文字通り「深夜0時までに」を意味していることもあるからです。
財政課から予算要求資料の提出を「今日中」と言われ、「今日の終業時刻までに」と理解した事業課の職員が、慌てて17時ぎりぎりに持っていきました。すると、「そんなに慌てなくて良かったのに。今日も、うちらはどうせ遅くまで残業するんだから」などと、財政課職員のマウント発言を聞かされてしまう職員も少なくないでしょう。そんな時、思わず、その財政課職員に飛び蹴りしたい気持ちになったとしても、仕方ありません。
ちなみに、「なるはや」と「今日中」と同様に不可解な用語があります。それは、条例などに出てくる「当分の間」です。「当分の間」だけど、元号が2回変わっても状況に変化がない、なんてことはよくわります。これは、世間一般の人にとっては、やはり不思議に感じるでしょう。
ところで、こうした用語の問題とは別に、指示が曖昧になってしまう原因として、公務員には優しい人が多くて、なかなか他人に対して明確に指示できないということもあるかもしれません。基本的に真面目な人が多い公務員の中には、その真面目さが原因で「本当は、自分でやらなくてはいけないと思っていて、人に頼むことが苦手」という人がいます。そのために、曖昧な指示になってしまうのです。
確かに、その「人に頼めない」という気持ちもわかりますが、しかし、その曖昧な指示によって、作業が滞ったり、対人関係がトラブルになってしまったりすれば、元も子もありません。
さて、こうした指示が曖昧な人への対応は、これは確認するしかありません。「いつまでにやっておけば良いですか?」と聞いて、「いつでも良いよ」と返してくるようであれば、「では、明日の午前中までで良いですか」と、こちらから具体的な日時などを提示するのも、1つの方法でしょう。
円滑なコミュニケーションを構築したいとお思いの方であれば、もし「いつでも良いよ」と言われたら、「では、私が異動するまでにやっておきます」と、ひとボケかますのも1つの方法かもしれません。しかし、それでささやかな笑いが生まれるかどうかは保証できませんので、使用する際には、ご自身の責任でお願いします。
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