11 法令違反している人

困った公務員の傾向と対策

単に「職場の困った人」という以前に、「公務員として問題」なのは法令などに違反している人です。こうしたタイプをこのシリーズで取り上げることに、違和感を覚える方もいるかもしれません。しかし、実は結構あることなので、取り上げることとしました。

「これは、結局は公務員倫理の話でしょ」と思うかもしれませんが、単に新人職員研修で話されるような内容だけではありません。かえって、ベテラン職員だからこそ、こうしたタイプになってしまうことがあるという、結構、根が深い問題なのです。

新人職員向けの公務員倫理などの研修では、「業者から接待を受けてはいけません」などと学びますが、新人職員がそのような場面に遭うことは、まずないでしょう。それよりも、課長昇任して、前任の課長から引き継ぎを受けた際に、「年末に関係団体と忘年会を実施している。建前は、いちおう会費制になっているけど、実は役所側の負担はないんだ」などと、打ち明けられることがあります。

新任課長としては、「それは、まずいんじゃ……」と指摘するものの、前任課長は「いや、これは代々の課長が、やってきたことなんだ。だから、問題ないよ」と、言ったりすることがあります。こうした事態に対して、新任課長が「それはおかしい!」と、真っ向から異を唱えるのは、なかなか難しいでしょう。実は、関係団体は首長とも懇意で、こうした慣習を首長も、副首長も知っているということもあるからです。

そのため、「それは、公務員倫理に反している」と言っても、全く相手にされないということもあるのです。そればかりか、そうしたことに異を唱えるのは異分子だとして、左遷の憂き目に遭う可能性だってあるのです。こうしたケースは、関係団体、業者、議員関係など、いろいろな相手が想定されます。

「そんなこと、本当にあるのか?」と考える方も多いと思いますが、例えば、入札に関する様々な不祥事は後を絶ちません。これは、たまたまその職員が不正を働いたということもあるかもしれませんが、長年、庁内の悪しきルールとして存在したということも、十分考えられます。なぜなら、「あの職員が、そんなことをするはずはない」と思われるケースが少なくないのです。

もちろん、自分には全く関係なく、職場内で法令違反をしている職員がいれば、上司や人事課に相談するなどの対応が可能です。また、公益通報制度もありますので、何らかの対応をすることは可能でしょう。

これまで、このシリーズでは職場にいる「困った公務員」について取り上げてきましたが、今回は、単にそれだけでなく、自分もまた「困った公務員」になってしまうという側面があるのです。しかし、こうしたケースは、なかなか表には出てこないものの、実は結構あったりしますので、とても注意が必要なのです。

ちなみに、対応策としては、法令違反でないか確認するのはもちろんのこと、何か危ないと思うことは証拠を残しておくことです。最近では、上司との会話も、隠れて録音しているという職員もいるとか、いないとか……。

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