今回から、文書・資料の作り方について解説していきたいと思います。まず、ここで取り上げる文書・資料とは何かについて説明します。
一言でまとめれば、文書・資料とは、「作成形式が定められていない、意思決定・報告等に用いられるもの」です。各自治体の文書管理規程などで定められる、起案文書、条例、告示などとは異なります。これらは、書き方、表記などに細かい規定がありますが、ここで取り上げる文書・資料はそうしたものではありません。
具体的な文章・資料の例を、いくつかご紹介します。例えば、予算要求にあたり、財政課へ提出する資料があります。これは、財政課の査定官に理解してもらうためのものです。もし、新規事業の予算要求であれば、事業の概要、メリット、経費などをまとめることになります。財政課へ提出する前に、係や課で検討する際にも用いられます。
また、事故などの報告書もあります。施設で何かしらの事故が発生した場合、事故の概要、経過、今後の対応などをまとめます。施設職員がそれらをまとめて、施設長や課長に報告する際に提出するものです。場合によっては、この資料は議会に報告する資料としても活用されることもあります。
この他にも、議事録(係会の内容・発言を記録するなど)、案内文書(職員に施設見学会の案内をするなど)、周知文書(研修手続の変更について周知するなど)などもあります。つまり、簡単に言えば、実務で用いられる様々な文書・資料などです。
こうした文書・資料は、仕事を効率良く進めていくためには、非常に重要です。例えば、先の新規事業の資料であれば、資料をもらった査定官が「経費などの必要な情報が書かれていない」、「メリットとデメリットが明確でない」などと判断してしまう資料であれば、わざわざ所管課に聞き直さなければなりません。これでは、時間をムダにしてしまいます。このように、的確に文書・資料を作成できることは、公務員にとって非常に重要なスキルなのです。
しかし、こうした文書・資料の作り方に関する研修などはありません。一般的には、職員は実務の中で学んでいくものとなっています。先輩などから、教わっていくのです。しかし、これでは職員によって差が出てしまいます。このため、以前に「公務員の文書・資料のつくり方」(学陽書房)として書籍にまとめたところ、多くの方に読んでいただきした。今回は、その中のいくつかをご紹介したいと思います。できるだけムダをなくし、効率的に業務を行うために、役立てていただければ幸いです。
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