1 概 要
欠格条項に該当する者を採用した場合、取扱いの規定がある
2 欠格条項該当者を採用した場合の取扱い
条例で特例を定めない限り、欠格条項に該当する者を採用することはできません。しかし、欠格条項に該当することが明らかでなかったり、事前の調査が不十分だったりしたために、誤って採用することがあります。
例としては、禁錮以上の刑に処せられ執行猶予期間中の者が、それを隠して競争試験や選考に応募して合格し、採用されるような場合です。
こうした場合には、当然に採用は無効ですが、発見までに時間がかかる場合には、その者が業務に従事していますので、その間の行為が公務としてどのように取り扱われるかという問題がでてきます。こうした問題については、以下のように整理されています。
①欠格者の採用は当然無効
採用時に遡って無効となります
②この間にその者の行った行為は有効
事実上の公務員の理論により有効とされています。事実上の公務員の理論とは、無資格者が公務員に選任されて外観上公務員として行った行為は、理論上は無権限者の行為ですが、行政秩序の安定と継続性を守るために、行政法理論はこれを有効なものとして扱うことをいいます。
③この間の給料は返還不要
本来、公務員としての権限のない者が受けた給料は、返してもらうべき不当利得です。しかし、地方公共団体からみれば、労務の提供を受けた不当利得がありますので、これを相殺することとされています。このため、給料の返還の必要はないとされています。
④退職手当は支給しない
原則、退職手当は支給しません。ただし、退職手当のうち、解雇予告手当に相当する退職手当及び雇用保険料給付に相当する退職手当は、事実上、勤労者を保護する措置となっており、通常の給与とは異なりますので、支給すべきものとされています。
⑤共済組合に対する本人掛金は返還
共済組合に対する本人の掛金中、長期の分については、組合から本人に返還します。短期の分については、医療給付があったものとして相殺し、返還しません。
⑥異動通知の方法
「無効宣言」に類する「採用自体が無効であるので登庁の要なし」という通知書で足りるとされています。
コメント