2 任命権者の種類

地方公務員法

1 任命権者とは
任命権者とは、人事権を持つ者・機関のことをいい、人事機関(人事行政に関わる最終的な権限を有する機関)の1つです。

人事権とは、採用、昇任、降任、転任、休職、免職、懲戒などを、対象となる職員に行うことができることをいいます。

2 任命権者の種類
地方公務員法6条1項などに、任命権者とその対象となる職員が定められています。具体的には、次のとおりです。

職 名 対象職員・根拠法
都道府県知事 副知事(自治法162条)、会計管理者(同法168条2項)、出納員その他会計職員(同法171条2項)、職員(同法172条2項)、専門委員(174条2項)、監査委員(同法196条1項)、人事委員会委員(地公法9条の2第2項)、地方公営企業管理者(地公企法7条の2第1項)など
市町村長 副市町村長(自治法162条)、会計管理者(同法168条2項)、出納員その他会計職員(同法171条2項)、職員(同法172条2項)、専門委員(174条2項)、監査委員(同法196条1項)、公平委員会(指定都市では人事委員会)委員(地公法9条の2第2項)、地方公営企業管理者(地公企法7条の2第1項)など
議会の議長 事務局長、書記長、書記その他の職員(自治法138条5項)
選挙管理委員会 書記長、書記その他の職員(自治法191条1項)
代表監査委員 事務局長、書記その他の職員(自治法200条5項)
教育委員会 教育長(地教行法16条2項)、教育委員会事務局の指導主事、事務職員、技術職員その他の職員(地教行法19条7項)、公立学校の校長、園長、事務職員、技術職員その他の職員(地教行法34条、県費負担教職員の場合は都道府県および指定都市の教育委員会に限る(地教行法37条1項、58条1項))
人事委員会及び公平委員会 人事委員会の事務局長ならびに人事委員会及び公平委員会の事務職員(地公法12条7項)
警視総監(都)及び警察本部長 警察官(警視正以上の階級にある者を除く)その他の職員(警察法55条3項)
消防長及び
消防団長
消防職員または消防団員(消組法15条1項、22条)
地方公営企業
管理者
管理者(企業長)の補助職員(地公企法15条1項、39条の2第2項)
農業委員会 職員(農委法20条3項)

3 長の総合調整権
上記のように、同じ地方公共団体の中にも、複数の任命権者がいます。任命権者により職員の身分取扱いが異なることも想定されます。このため、長には総合調整権が与えられています

長は、行政委員会等に対して、職員の定数又はこれらの職員の身分取扱について、必要な措置を講ずるように勧告することができます。また、行政委員会等が、職員の定数又はこれらの職員の身分取扱等に関する規則等を制定・変更する場合には、あらかじめ長と協議しなければならないとされています(地方自治法180条の4)。

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