「他の職員が作業してくれないと、自分の仕事が終わらない」ということがあります。例えば、福祉課の職員で、出先施設である福祉会館の管理業務を担当していたとします。ある福祉会館で健康器具を利用していた高齢者がケガをしてしまい、救急車で運ばれてしまいました。
この再発防止策を検討・決定し、早急に実施する必要があります。担当職員は、課長から再発防止策の検討を命じられました。このため、3つの案を考えて、係長に提出しました。しかし、なかなか係長が決めてくれません。このような時、係長を動かすためには、どうしたら良いでしょうか。
第一に、判断や行動できる十分な根拠を提示することです。多くの場合、係長がなかなか決められないのは、判断や行動に自信が持てないからです。誰もが「この方法しかない!」と思う内容であれば、迷うことはないはずです。このため、担当職員としては、①3つの案のメリット・デメリットを表にまとめる、②それぞれの案について経費や効果などの視点から点数化して比較する、などを資料に加えて、係長が判断しやすいようにするのです。「私としては、この案が良いと思います」と自分の意見を添えることも大事です。
第二に、判断などを先送りすることのデメリットを明確にすることです。このケースであれば、「係長の判断が遅れると、課長の判断も遅れてしまい、後で議会や市長からも指摘されてしまうかもしれませんよ」などと、デメリットを明確に示すわけです。職員であれば誰でも、自分の責任が追及されるのは嫌なものです。「後で怒られるかも」と思わせることができれば、その反動で判断を促すことができるかもしれません。
第三に、他の人からも働きかけてもらうことです。このケースであれば、係長のいないところで、課長に「係長に再発防止策の案を提出したのですが、なかなか判断してくれないのです」とそっと告げればすれば、課長が係長に「再発防止策はどうなった?」と聞いてくれるかもしれません。さすがに課長に言うのが難しいのであれば、同じ係のべテラン職員に頼んでみる方法もあるかもしれません。
単に「係長、判断してくれないと困りますよ」などと言っても、かえって係長は感情的になってしまうかもしれません。そのためには、直接的でなく、先のように間接的なアプローチで促すことが効果的なのです。
なお、当然のことですが、上司や同僚に動いてもらうには、彼(女)が自分の役割をきちんと認識していることが前提です。先のケースで、係長が「再発防止策は、課長と担当職員で検討していて、自分は関係ない」と考えていたら、いつまで経っても係長が判断することはありません。
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