1 概 要
①二元代表制とは、このように行政と議会が互いに協力・牽制しながら自治を行っていくこと
②議会には立法機能、執行機関に対する監視機能などがあるが、具体的な権限として、議決権、選挙権、検査権などがある
2 議会の意義
自治体では首長と共に議員も選挙によって選ばれ、共に住民の代表となります。二元代表制とは、このように行政と議会が互いに協力・牽制しながら自治を行っていくことを指します。議会の存在により、首長の暴走の抑止、多様な住民の意見の反映、両者の議論により政策形成を行うことができるなどのメリットがあります。
首長は、予算や条例などの議案の提出権や人事権などの権限を持ち、議会は議案の議決権などによって監視機能を担い、首長の不信任を決議する権限を持ちます。また、首長は不信任を受けた場合に、議会を解散することができます。
憲法93条には「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」、地方自治法89条には「普通地方公共団体に議会を置く」とあり、議会の設置について明記されています。ただし、町村については、条例により、議会を置かず、有権者からなる町村総会を置くことができます(地方自治法94条)。
3 議会の権限
議会には立法機能、執行機関に対する監視機能などがありますが、具体的な権限として、議決権、選挙権、検査権などがあります。
議会は地方公共団体の議決機関であるため、議決権は最も中心となる権限となります。議決権は、地方公共団体の意思又は機関としての議会の意思を決定するために議会に付与された権限で、議会における議決事項は、地方自治法に制限列挙されています。
地方自治法96条に列挙されている議決事項は以下のとおりです。
①条例の制定・改廃
②予算の決定
③決算の認定
④法令のほか、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・加入金・手数料の徴収
⑤条例で定める契約の締結
⑥条例で定める場合を除くほか、財産の交換・出資目的化・支払手段化・適正な対価なき譲渡・適正な対価なき貸付
⑦財産の信託
⑧条例で定める財産の取得・処分
⑨負担附き寄附又は贈与を受けること
⑩法令・条例で特別に定める場合を除き、権利を放棄すること
⑪条例で定める重要な公の施設につき、条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること
⑫地方公共団体が当事者である不服申立て・訴えの提起・和解・斡旋・調停仲裁に関すること
⑬法律上の義務に属する損害賠償の額の決定
⑭区域内の公共的団体等の活動の総合調整
⑮その他法令(これに基づく条例を含む)により議会の権限に属する事項。
この他、条例で議決事項を定めることができ、法定受託事務についても、一定の範囲で議決事件とすることができます。
4 国会と地方議会の違い
国会と地方議会では相違点が多くあります。例えば、国会は国の最高機関ですが、地方議会は執行機関と同等の関係にあります。また、国会は国の唯一の立法機関ですが、地方では執行機関である長にも規則制定権があります。
議院内閣制とは、国会の信任にもとづいて内閣がつくられ、内閣が国会に対して責任を負うしくみです。このため内閣が議会に対して責任を負い,その存立が議会の信任に依存しています。そのため、その信頼関係がなくなり内閣不信任案が可決された時などは、内閣は総辞職するか、衆議院を解散します。地方における執行機関と議会の関係とは異なります。
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