1 概 要
①予算科目とは、歳入歳出予算の内容を区分するもので、「款」、「項」、「目」、「節」を指す。
②予算科目は、議決科目と執行科目に分類される。
2 歳入科目と歳出科目
予算科目とは、歳入歳出予算の内容を明らかにするための区分です。最も大きい分類が「款(かん)」となり、その下が「項(こう)」、以下「目(もく)」、「節(せつ)」となります。つまり、予算科目とは「款」、「項」、「目」、「節」のことです。
歳入は性質に従い「款」に大別し、さらに各款を「項」に区分し、歳出では目的に従い「款・項」に区分しなければならないとされています(自治法216条)。さらに、「目・節」に区分することは自治法施行令150条1項3号に記載されています。
このように予算科目の基準が示されているのは、予算の審議や自治体間の比較等のため、統一されていることが望ましいという趣旨となっています。
自治体の予算説明書などは、とても厚く読みにくいものですが、そのほとんどは歳入・歳出予算がこの区分に従い、予算額が書かれたものです。簡単に言えば、収入と支出の分類を整理したに過ぎません。以下、歳入と歳出に分けて説明します。
<歳入科目>
歳入は、「第1款市税・第1項市民税・第1目個人・第1節現年課税分」というような表記となります。ある市の例では、この款だけでも、国庫支出金、繰入金、繰越金など、最後の22款・市債(地方債)までありますので、歳入だけでもかなりの分量になります。なお、歳入科目の基準は、地方自治法施行規則15条1項別記に定められています。
<歳出科目>
歳出は、「第2款総務費・第1項総務管理費・第1目一般管理費・第1節報酬」などのような表記となります。こちらも先の市の例では、「第1款議会費」から「第13款予備費」まであります。
なお、歳出予算の「節」は性質別に28節に限定され、他の地方公共団体との比較等から、地方自治法施行規則第15条第2項別記のとおり定めなければいけないとされています。
歳出予算の節は、予算の使い道といえます。各部署の会計や予算担当者は頻繁に用いますので、主な内容を覚えておくと良いでしょう。なお、節を更に細かくした細節が設けられることもあります。
節は以下のとおりです。1報酬 2給料 3職員手当等 4共済費 5災害補償費 6恩給及び退職年金 7賞金 8報償費 9旅費 10交際費 11需用費 12役務費 13委託料 14使用料及び賃借料 15工事請負費 16原材料費 17公有財産購入費 18備品購入費 19負担金、補助及び交付金 20扶助費 21 貸付金 22補償、補填及び賠償金 23償還金、利子及び割引料 24投資及び出資金 25積立金 26寄附金 27公課費 28繰出金。
3 議決科目と執行科目
議決科目とは、議会の議決の対象となる予算科目をいい、「款」・「項」が該当します。執行科目とは、議決の対象とならない予算科目をいい、「目」・「節」が該当します。
このため、議会に提出される「予算書」には議決科目のみが掲載され、とても厚い冊子になった「説明書」には執行科目までが掲載されているのです。「予算書」については地方自治法施行規則14条に、「説明書」には同15条の2にその点が規定されています。
また、「款」・「項」については議決されていますので、原則として款や項の間で流用することはできません。ただし、必要がある場合のみ、項の流用は認められています(自治法220条2項)
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