9 常に不平・不満を言う人

困った公務員の傾向と対策

職場で、常に不平・不満ばかり言っている人がいます。「うちの課長は、私たち部下に気を遣ってくれない」、「〇〇係長は、自分の係のことしか考えていないで、課全体のことを考えない」、「私が合格できないのに、△△さんが係長試験に合格ができたのは、副市長に取り入っているからだ」など、その内容は様々です。

こうした人たちの話を良く聞いていると、その話の1つ1つが正しいか、間違っているということは、あまり重要ではないように思います。周囲の職員にとって大事なことは、「この人は、常に不平・不満を言う人だ」ということを見抜き、それにいかに対応するかにあります。

実際に、私もこうしたタイプと、同じ職場になったことがあるのですが、これはなかなか厄介です。まず、周囲にいる職員は、常にそうした愚痴を聞かされるので、正直疲れます。まさに精気を吸い取られますので、ただでさえ多くの仕事を抱えて大変なのに、その上でこんなことを聞かされるのは、苦痛以外の何物でもありません。

しかし、だからと言って、その職員のことを無視しようものなら、今度は自分の悪口を他で言いふらしますので、これはこれでまた面倒なのです。このため、「そうですね、大変ですよね」と心にもないことを口から発し、笑顔でかわすより他ないのです。その不平・不満を最短の時間で済ませるには、話しを無視するのでなく、また聞き入るわけでもない、絶妙な対応が求められるのです。

ところで、このようなタイプは、公務員には結構います。当時、さんざん不平・不満を聞かされた身としては、こうしたタイプになってしまうのはいくつかの理由があるように思います。

1つ目は、モンスタークレーマーに代表される住民対応の反動です。クレーマー対応は、職員にとっては大きなストレスですが、その反動として不平・不満を言うのです。もしかしたら、本人には自覚がないのかもしれませんが、溜まったストレスは、どこかで吐き出さなければなりません。それが、不平・不満となって現れるのです。これは、ミイラ取りがミイラ取りになるということかもしれません。

2つ目には、家庭にトラブルを抱えていることです。典型的なパターンとしては、夫婦仲が悪く、そのはけ口になっていることです。本人には、そうした自覚はないのですが、常にイライラし、愚痴を言っているイメージです。家庭内トラブルがなくなれば、自然と不平・不満もなくなるのです(周囲の職員にとっては、いい迷惑ですが)。

3つ目は、生来の不平家・不満家です。このタイプは、不平・不満を言わずにはいられないタイプです。先の2つのタイプには、不平・不満を言う原因が存在するのですが、このタイプは原因はありません。強いて言うならば、その人の性格そのものでしょう。

なお、こうした常に不平・不満を言う職員は誰からも注意されませんし、職場で放置されるのが一般的です。それは、公務員ならではのぬるま湯体質が原因かもしれません。民間企業だったら、「そんなに不満があるなら、辞めろ」と一喝されそうなものですが、公務員の世界では、それは難しいでしょう。このため、不平・不満家は、様々な職場に出現することになります。

さて、こうしたタイプへの対応方法ですが、基本的には聞き流して、上辺だけのお付き合いに徹するのが最善でしょう。軽んじても、深入りしても、やけどをするだけですから。間違っても、「その考えはおかしい!」などと、正面から対決しないことです。そんなことをしても、何のメリットもありません。

ちなみに、周囲の職員は先のように表面的には対応しますので、不平・不満家は、「自分は嫌われていない」という、見事なまでに誤った認識を持っていることがあります。なんという、幸せ者なのでしょうか。めでたしめでたし……あっ、違うか。

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