47 歳入・歳出の分析 

自治体財政

1 概 要
①歳入の分析として、一般財源比率・自主財源比率による分析などがある
②歳出の分析として、経費の目的別分類、性質的分類による分析などがある

2 歳入の分析
決算により、歳入の分析を行うことができますが、分析の種類として次のようなものがあります。

(1)一般財源比率
歳入の分類として、一般財源(普通税など使途が特定されていない財源)と特定財源(国庫支出金や地方債など使途が特定されている財源)があります。

歳入に占める一般財源の割合を一般財源比率といいますが、これは比率が大きければ大きいほど、幅広い行政需要に応えることが可能となります。

反対に、この率が低いということは、特定財源の割合が高いということですので、財源の使い道が決められており、自治体の裁量が少なくなってしまうことを意味します。

(2)自主財源比率
歳入を自主財源(地方税のように自ら調達した財源)と依存財源(国や都道府県などからもらった財源)に分類し、歳入に占める自主財源の割合を自主財源比率といいます。

自主財源比率が大きければ大きいほど、財政の自主性と安定性を確保することができます。

(3)経常的収入と臨時的収入
経常的収入は、毎年度、継続的、安定的に収入が確保できる見込みのあるもので、臨時的収入とは、一時的、臨時的な収入です。

経常的経費は経常的収入で賄い、臨時的経費は臨時的収入と経常的経費に充当した経常的収入の残りで賄うことにより、財政構造の弾力性を確保すべきとされています。

3 歳出の分析
歳出の分析にもいくつかの種類があります。

(1)経費の目的別分類
経費の目的別分類とは、経費をその行政目的で分類するもので、具体的には予算科目の款による分類です。議会費、総務費、民生費、衛生費、産業経済費、教育費、公債費などに分類できます。

最近では、少子高齢化の影響などにより、民生費の割合が高くなってきている自治体が多くなっています。こうした経費はなかなか削減することが困難となっていますので、財政上の大きな課題にもなります。

(2)経費の性質別分類
経費の性質別分類は、経費を義務的経費、投資的経費、その他経費に分類するものです。

義務的経費は、支出が義務付けられているもので、人件費、扶助費、公債費が該当します。投資的経費は、公共施設の建設などの建設的経費であって、インフラの整備等に要する経費となっています。その他経費は、事業の委託料や備品購入費などの物件費、維持補修費などです。

この中で、義務的経費の割合が大きくなると、財政が硬直化してしまいます。当然のことですが、支出が義務付けられている割合が大きくなってしまえば、新たな行政需要に対応することが困難になってしまいます。

最近では、扶助費の割合が大きくなってきていることが課題となっています。やはり、高齢者の増加に伴い扶助費が増加し、それが義務的経費の比率を高めてしまうのです。

(3)経常的経費と臨時的経費の区分
経常的経費とは、毎年度、継続的かる恒常的に支出される経費をいい、臨時的経費とは、突発的、一時的な行政需要に対する経費、あるいは不規則に支出される経費をいいます。

この区分に対して、歳入についても経常的収入と臨時的収入に対応させることにより、自治体の財政分析を行うことができます。

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