文章としては問題ない論文であっても、内容としてダメな論文も多くあります。その代表的な例が、役職に応じた内容になっていない論文です。
<ポイント>
1 主任論文の場合
2 係長論文の場合
1 主任論文の場合
主任論文で、最も多い間違いは係長がするべきことを書いてしまうことです。「係員に住民への接遇の意識を徹底するため、係会を開催する」などです。
係会を開催するか否かは、係長が決めることですので、主任が勝手に決定することはできません。このため、「係長に係会の開催を提案する」のような表現になります。
また、行政課題の場合には、こうした間違いが起きやすくなります。
例えば、「人口減少対策」のようなテーマの場合、「子育て家庭に一律10万円の支給する」、「他市からの移住を促進するための補助金を創設する」などの解決策を書く人がいます。
しかし、これは主任論文の内容としては疑問です。実際に主任にはそのようなことを決める権限はないからです。ただし、「あなたが市長だとしたら、人口減少対策としてどのように取り組むか」のような問題文であれば、違和感はありません。
2 係長論文の場合
係長論文では、先の「子育て家庭に一律10万円の支給をする」、「他市からの移住を促進するための補助金を創設する」という解決策が絶対にダメとは言えません。
係長は監督職であり、事業や政策に対して提案してもおかしくないからです。ただし、係長は管理職ではありませんので、提案にはある程度の制限があります。
もちろん、自治体によっては「子育て家庭に一律10万円の支給をする」は、財政状況から困難で解決策としては適当でないこともあります。それは、自治体の実態と対応していないためであって、係長論文の解決策としてダメということではありません。
係長論文の場合、組織改編、予算編成、人事制度のような、いわゆる管理運営事項(地公法55条)にかかる内容について提案するのは避けた方が無難です。これは、行政課題、職場課題のいずれもです。
この管理運営事項は、職員団体の交渉対象外となっている事項であり、基本的には自治体の存立にかかる内容のため、管理職が考えるべき事項となっています。このため、係長論文で提案するのは違和感があります。
「では、いったいどのような内容が適当なのか?」と悩むかもしれませんが、こうした時は過去の合格論文を見て、どのような解決策を提案しているのかを確認すると良いでしよう。
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