昇任論文で、「本市は防災対策が遅れているので、もっと拡充すべきだ」、「人事当局は定数増をしてくれず、現場は疲弊している。もっと職員数を増やすべきだ」、などの表現をしてしまう論文がありますが、これはダメです。
<ポイント>
1 昇任論文で自治体批判を書いてしまう理由
2 表現方法が重要
3 書き方の具体例
1 昇任論文で自治体批判を書いてしまう理由
そもそも、昇任試験は「主任になりたい」、「係長に昇任したい」と思って試験を受験しているはずです。それなのに こうした自治体批判、当局批判をするのはおかしなはずです。
「こんなことを書くはずがない!」と思う人もいるかんもしれませんが、実際にこうした論文を非常に多いのです。
その理由は、論文ではテーマに対して解決策を提案しなければならないからです。例えば、テーマが「効率的な行政運営」だとすれば、次のようなものが解決策となります。
①AlやRPAの導入による事務の効率化
②組織間の連携の推進
③職員のコスト意識の向上
その場合、②「組織間の連携の推進」では「現在、本市では組織間の連携が十分とは言えない」と問題点を指摘する必要があります。
こうした時に、「現在、本市では組織間の連携が全くできていない」のように、自治体批判、当局批判をしてしまうわけです。
2 表現方法が重要
あくまで言い方・表現の問題なのですが、「現在、本市では組織間の連携が十分とは言えない」と「現在、本市では組織間の連携が全くできていない」では、採点官の受け取り方は大きく異なります。
前者は「未だ不足している部分がある」と前向きですが、後者は単なる批判、悪口になってしまいます。これでは、採点官は「昇任試験を受験しているのに、本市を批判するのか?」と感じてしまいます。
このように、問題点を指摘する際には、自治体批判、当局批判にならないように注意する必要があります。論文としては、「これまでも本市はテーマに対して取り組んできたが、まだ不足している点がある」というニュアンスで表記する必要があります。
3 書き方の具体例
具体的には、4章構成の2章であれば、次のようになります。
「本市は、これまでも効率的な行政運営に努めてきたが、いまだ次のような課題ある。第一には、事務の効率化が十分とは言えない点である。これまでも市は、アウトソーシングやICTの推進など、事務の効率化に努めてきた。しかし、〇〇市ではロボットチャットを導入し、市民からのごみの分別に対して24時間回答が可能となっている。また、保育園の入園事務についてAlを導入し、大幅な事務削減に成功した自治体もある。このように~」
市に課題がなければ、そもそも論文のテーマにはなりません。しかし、だからといって自治体批判になってしまっては論文として適当ではありません。
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