円滑なコミュニケーションが成立していないと、業務に支障が生じるだけでなく、人間関係にも問題が起こってしまいます。皆さんにも、次のような経験はないでしようか。
①係内での情報共有ができておらず、複数の係員が同じ作業をしていまい、ムダが出た
②上司からの指示を十分理解しないで資料を作成してしまい、やり直しを命じられた
③他部署から問い合わせがあり、すぐに「いつもの質問だ」と思って答えたが間違っていた
④住民からの相談中に、「つまり、 こういうことですよね」と言ったら、嫌な顔をされた
⑤電話で「はい、はい」と矢継ぎ早に返事していたら、「話を聞いているのか」と怒られた
役所の仕事は、基本的に自分以外の他の人との関わりを持たざるを得ません。しかし、互いの意思を十分に確認しないと、先のようなトラブルが発生してしまいます。こうしたトラブルの原因の大きな1つが、相手の話を十分に聞かずに遮ってしまうことです。
例えば、秋になると各地区で防災訓練が実施されており、多くの町会・自治会の役員が防災用品を借りるため窓口に訪れます。このため、防災課の職員は窓口に住民が来ると、「また、防災用品の申請か」と思ってしまうのです。
そこで、住民が話し出しても、「防災用品の申請ですよね」と話しを遮ってしまい、書類を渡してしまうのです。しかし、実際には自主防災組織を設立したいなどの相談であるため、住民はまた最初から話をすることになるのです。これにより、ムダがまた1つ生まれてしまいます。
福祉関連の部署で、職員がこのような態度を取ってしまうと、思わぬ悲劇を生んでしまうこともあります。例えば、ホームレスが福祉事務所の相談窓口で「交通費がなくて…」と話し始めたところ、すぐに「バス代が必要なんですね」などと決め込んで、その処理だけで済ませてしまおうとする職員がいます。しかし、実際には交通費だけでなく、生活全体の問題だったにも関わらず、それを見逃してしまうのです。
職員として、「あっ、これはいつもの申請だ」、「つまり、問題は〇〇ということでしょ」と思ってしまう気持ちも十分にわかります。実際に、それで間違っていないこともあるからです。しかし、少数であっても、実は違うということはあるのです。また、このような対応をされたら、住民は「自分の話をきちんと聞いてくれない」と思ってしまうものです。
残念ながら、いつもテキパキと働いている若手職員の中には、仕事ができるがゆえに、こうした態度を取ってしまうことが少なくありません。職員からすると、その相談は数多くある相談の1つかもしれませんが、住民からするとその相談1つで今後の生活が決まってしまうこともあるのです。相手の話を安易に遮らず、傾聴を心掛けたいものです。
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