1 概 要
①継続費とは、2年度以上にわたって支出をする必要がある場合、予めその経費の総額と年度ごとの額を事業ごとに定めておくもの。
②実際に継続費はあまり用いられず、複数年度にわたって支出が必要な場合は、債務負担行為が活用されている。
2 継続費とは
自治体の事業には、施設の整備のように複数年にわたって行うものがあります。その経費の総額及び年ごとの額をあらかじめ一括して予算に定めて、複数年に支出するものを継続費といいます。
本来、予算は会計年度を単位とするという会計年度独立の原則がありますが、その例外となります。
地方自治法212条には、「普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができるとあります。
また、同2項には、「前項の規定により支出することができる経費は、これを継続費という。」と規定されています。
例えば、○○保育園整備事業は総額20億円の事業とします。この場合、令和5年5億、6年度5億、7年度10億円にように年度ごとに支出額を定めるのです。なお、これは年度割の支出予定額であり、実際の支出額と一致するとは限りません。
仮に、5年度に5億円のうち4億円しか使わなかった場合には、翌年度に1億円を繰り越すことできます。これは6年度で同様のことが起こった場合でも、7年度に繰り越すことができます。
最終年度まで繰り越すことができるのです。このようなことを「継続費の逓次繰越」といい、順次繰り越せることを意味しています。一般的に、歳出予算と実際の支出額の差を不用額と言いますが、こうした場合は不用額にならずに繰り越すことになります。
3 継続費を活用する場合に必要な書類
継続費を活用する際には、予算に関する説明書の1つとして、「継続費に関する調書」を作成します。
また、継続費の期間については毎年度「継続費繰越計算書」を作成する必要があります。
さらに、事業が終了した場合には「継続費精算報告書」を作成し、決算に合わせ議会に報告することとなります。
なお、このように事務的な負担が多いため、実際には継続費の制度は使われず、債務負担行為が活用されています。
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