17 基金の概要 

自治体財政

1 概 要
①基金は、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、または定額の資金を運用するために設置される。
②基金は条例により任意で設置できるが、法律により設置が義務付けられているものもある。

2 基金の設置、処分、種類
基金は、家計の預金に該当するものです。自治法241条1項には、「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる」と規定されています。

基金は任意に設置できますが、設置する場合には条例で定める必要があります。ただし、災害救助基金については、災害救助法で都道府県に設置が義務付けていますので、条例がなくても設置できます。

例えば財政調整基金であれば、基金を設置する条例の中に、「基金は、経済事情の変動による財源不足その他特に必要とされる事業の経費に充てる場合に、その全部又は一部を処分することができる」のように規定し、毎年度、基金を活用できるようにします。

また、基金を廃止する場合は、条例を廃止することになります。なお、自治法ではこうした基金の活用や廃止については、処分といいます

基金は、①特定目的基金(特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立てるもの)、②定額運用基金(特定の目的のために定額の資金を運用するもの)の2つに大きく区分することができます

定額運用基金の例としては、公共料金支払いのための基金を設置し、この基金から随時引き落としをします。事業課では、一定期間の後、まとめてこの基金に引き落とし分を積み立てます。これにより、事業課では請求の度に公共料金の支払いをせず、事務が軽減されます。

3 基金の運用
基金は、条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない(自治法241条2項)とされています。

例えば、施設建設のための基金を設置し、毎年度一定額を積み立てるとします。この際、目標額に達するまでは基金の積立額は増加していきますが、その積立額は運用することも可能となります。

つまり、金利の低い銀行の普通預金に預けておくよりも、定期預金にしたり、国債や地方債で運用したりすることも可能となります。

もちろん元本割れするような金融商品に手を出すことはできませんが、様々な運用方法を検討(金融商品を比較)し、資金を運用するのです。このため、1つの自治体の中で、地方債を起こして(起債)借金をする一方、他の自治体の地方債を購入して資金を運用するということもあるのです。

4 基金の管理
基金の運用から生ずる収益及び基金の管理に要する経費は、それぞれ毎会計年度に歳入歳出予算に計上しなければならない(自治法241条4項)とされています

例えば、基金の利息などは財産収入の財産運用収入として計上されたりします。また、基金の管理に要する経費とは、事務費や人件費を指すとされ、これは基金の額が減少しないための配慮とされています。なお、歳入歳出予算は一般会計・特別会計を問いません。

定額運用基金については、毎会計年度、運用状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付し、監査委員の意見を付けて、議会に提出しなければならないとされています(自治法241条5項)

これは、基金から直接貸し付け、また基金に直接償還されるため、歳入歳出予算には載らないためです。このため、この書類により議会で審議されることとなります。

なお、基金の管理は長が行いますが、基金に属する現金及び有価証券の保管は会計管理者の権限とされています。このため、基金の預金名義は自治体ですが、取扱責任者は会計管理者となります。

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