16 人件費・扶助費・公債費

自治体財政

1 概 要
①人件費は、職員の給料や職員手当など、人に伴う経費の総称。
②扶助費は、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法などに基づき、自治体から直接支給される経費。
③公債費は、自治体が借り入れた地方債の元利償還金。

2 人件費とは
人件費は人に伴う経費の総称ですが、何を対象とするかは場面によって異なります

普通会計の人件費では、報酬、給料(事業費支弁分を除く)、職員手当等(事業費支弁分を除く)、常傭的臨時職員給与、共済費(一般賃金に係る分を除く)、災害補償費、退職金、恩給及び退職年金、職員互助会補助金とされています。

予算説明書上の人件費は、一般会計において経費を人件費・事業費に二分する場合に使用される人件費で、給料と、職員手当のうち扶養・地域・期末・勤勉手当を合計したものとされています。

人件費は職員数と給与水準で総額が決まります。職員数については、どこの自治体も定員適正化計画などにより職員数を管理しています。また、事業を民間委託するなどして職員数が増えないようにしています。

なお、給与水準を考える際にはラスパイレス指数という考え方が用いられます

これは、比較しようとする自治体の職員構成が、国の職員構成と同一と仮定し、職種ごとに学歴別、経験年数別に平均給料の月額を比較し、国家公務員の給与を100とした場合の自治体の給与水準を指数で示したものです。

指数算出の基礎データは「地方公務員給与実態調査」及び「国家公務員給与実態調査」となっています。

また、実際の給与決定にあたっては、人事委員会からの勧告に基づき、職員団体との交渉を経て決定されるのが一般的です。

3 扶助費とは
扶助費は、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、障害者自立支援法などに基づき、自治体から被扶助者に対して直接支給される経費です。

少子高齢化の進展に伴い、どこの自治体でも扶助費の増加は財政上の大きな課題となっています。高齢者数が増加すると、扶助費も増加がしますが、これにより義務的経費全体の比率を高めてしまい、新たなサービス等を展開することが困難となっていまいます。

この扶助費の削減はなかなか困難ですが、例えば自治体独自サービスの削減や廃止をする場合があります。

4 公債費とは
公債費とは、自治体が借り入れた地方債の元利償還金を指します

普通会計では借換債(過去に起こした地方債を返済して、新しく起こした同額の地方債)に係るものを控除し、減債基金(地方債の返済を計画的に行うために設けられる基金)への積立金、一時借入金の利子償還分を含みます。

地方債の返済については、毎年一定の元利償還金を返済する場合もありますし、満期一括償還としている場合もあります。満期一括償還の場合には、毎年、減債基金に積み立てを行い、返済時に基金からの繰入を行い、まとめて支払ったりします。

なお、地方債の返済にあたっては、一般の住宅ローンのように、繰上償還をする場合があります。これは、満期日までの間に、借入額の全部又は一部を返済するものです。

財政的に余裕のある場合に実施することもありますが、繰上償還をするためには、補償金が必要な場合があります。このため、必ずしも繰上償還が自治体にとって大きなメリットにならないこともあります。

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