議員が本会議や委員会で行う質問には、いくつかのタイプがあります。具体的には、政策などを提案する、執行機関の認識を尋ねる、単に自分の主張を述べるなどがあります。
その代表である提案型は、文字通り議員が執行機関に対して、政策などを提案するものです。提案の背景には、そもそも自らの主張、政党や会派の意見、地域住民や関係団体の声など、様々です。
これに対して、答弁する執行機関は態度を表明しなければなりません。これには、いくつかのパターンがあります。答弁のフレーズと本音の関係は、次のように示すことができるかもしれません。
「取り組んでまいります」…必ずやります!
「実現するよう努めてまいります」…実現する方向で進めていきます
「検討します」…実現するつもりです
「動向を注視してまいります」…当分は、周辺自治体などの様子見です
「研究します」…今のところ、実現するつもりはありません
「時期尚早と考えております」…やるつもりはありません
「実施は考えておりません」…全くやるつもりはありません
なお、こうした答弁フレーズは、当然のことながら、提案の内容に対して決まるのですが、「どの議員の提案か?」ということも影響します。例えば、野党系議員の質問であれば、基本的に、「実施は考えておりません」など、強く否定する答弁となることがほとんどです。
一方で、与党系ベテラン議員が同趣旨の質問をした場合は、少しニュアンスが変わります。当局としては、実現するつもりはないのですが、当該議員への配慮から「貴重なご提案と考えており、今後研究してまいります」などと、強い否定に聞こえないようなフレーズになるのです。
ちなみに、議員の提案に対して、当局がすぐに「取り組んでまいります」のような、積極的な答弁をすることは稀です。なぜなら、役所が新たに事業を行う場合には、予算の確保、関係機関への調整、住民への周知などもあるため、かなりの準備が必要だからです。
このため、このような積極的な答弁がされる背景には、既に執行機関と議会側で調整が済んでいて、質問と答弁は最終的な住民への周知のためということも少なくないのです。このため、1つのセレモニーと言っても良いかもしれません。
また、質問する議員からすると、「自分の質問によって、市が事業を行うことになった」と住民にアピールすることができますので、自分の成果として訴えることも可能となります。
コメント