皆さんも、これまで様々な職場を経験する中で、「あの人とは、会話がスムーズに進まない」、「この人は何を考えているんだろう」など、「上手くコミュニケーションが取れないな」と悩む人がいたのではないでしょうか。
例えば、「指示待ち職員」。言われたことはやるのですが、それ以上のことはしない。また、自分から「次は、何をしたら良いでしょうか」などと質問することはなく、ただ次の指示を待っているようなタイプです。このようなタイプが相手の場合、基本的にコミュニケーションは一方通行なので、円滑な意思疎通ができません。
また、「我が道を行く職員」。例えば、住民から提出された申請書類を係全体で審査を行っているにも関わらず、自分勝手な判断で審査をしてしまう。「統一した判断基準で審査をしないと、判断にバラつきが出てしまうから、住民も困ってしまうでしょ」と先輩が丁寧に教えるものの、「自分としては、この判断が正しいと思うので」と言って譲らない。ひどい場合には、周囲との間に壁を作り、自分1人で仕事を抱え込んでしまう。
さらに、「他人無関心職員」。基本的に、他人に対して関心・興味がない、常に自分が大事であって、SNSの中に居心地の良さを求めており、現実の職場の人間関係を重視していない。このため、そもそも他の職員の話を聞いていないということもあり、何か話しかけられても、「早く終わらないかな」とつまらなそうな顔をする。
このようなコミュニケーションが取れない職員は、結構多いのではないでしょうか。一人っ子で育った、コロナの影響で他人とコミュニケーションを取る機会が少ないなど、コミュニケーション力が育たない原因は、いろいろと指摘されています。しかし、そうした原因を探ることよりも、こうしたタイプとどのように対応するのかの方が、より切実な問題です。
公務員採用試験では、こうしたコミュニケーションに問題ある人を間違って採用しないために、面接試験があるのですが、さすがにあの短い時間だけでは見抜けないこともあります。一見して、意思疎通が図れないとはわからないこともあります。このため、やはり面接試験をすり抜けて、こうしたタイプが職員となっていることは少なくないのです。
公務員になろうとする人は、基本的に真面目なタイプが多いです。このため、親の言うことをよく聞く「良い子」が多く、親もまた大事に育てていますので、他者と関係を構築することが苦手という人が多いのかもしれません。
ちなみに、自分が在職中に、「新人職員は大事に育てろ。厳しく教えるな」という趣旨の文書が管理職に出されたことがありました。その文書が発出された理由は、「厳しくすると、辞めてしまうから」だったそうで、その経緯を知り、驚いた記憶があります。
さて、こうしたタイプが、後輩なのか、部下なのか、それとも上司なのかによって対応方法は異なりますが、いずれにしても「あなた1人でなく、組織で仕事をしている。だから、1人で自分勝手な行動をされては、周りの職員は困ってしまう」ということを、言い含めるように説明することが必要でしょう。
感情的になって怒っては、余計に相手は壁を作ってしまいますから、まさに親が子どもに教え諭すように、やさしい説明が必要なのです。そうしたやり取りが、本人のコミュニケーション能力の向上にもつながるからです。
ちなみに、コミュニケーションに問題がある人への対応には、対面でなくメールやチャットも有効なようです。現在、デジタルネイティブである多くの若い人が職員になっていることを考えると、それもまたうなづけます。
このため、上司などが、そうした職員へ地道にメールを送り続けて、心を開かせようとすることもあるとのことです。そんな話を聞くと、昔あった「交換日記」を思い出してしまうのは、思いっきりアナログネイティブ世代だからでしょうか。
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