9 議員は、どのようにして質問を作成するのか② ~政党・会派の考えを述べる~

議会対策

よくある議員の質問のパターンとして、その議員の属する政党・会派の考えを執行機関に質問するということがあります。念のために申し上げると、政党は基本的には全国的な組織で、会派はその地方議会内だけのグループです。

例えば、国で社会保障に関する議論が高まっています。このため、市に対して国民健康保険料や介護保険料に関する質問をすることがよくあります。

こうした場合、その議員の属する政党の考え方(国民にこれ以上の負担をさせるべきではない、など)があれば、その主張と同様の趣旨で、市に対して質問を行うということは、よくあることです。つまり、その政党の考え方を国だけでなく、各地方自治体でも主張するわけです。

また、地方自治体の業務ではない内容(国政など)についても質問することもあります。例えば、防衛問題などです。例えば、某国が日本近海にミサイルを発射したことに対して、首長としてどのような見解を持っているのかなどです。こうした時も、その政党の主張に沿った形で、質問がされるわけです。

ちなみに、政党の考えはブレることはないのですが、会派の考えを質問する場合は、若干様子が異なります。それは、会派の場合は、政党とは異なり、いろいろな考え方の議員が集まっていることが少なくないからです。このため、会派は統一した考え方というよりも、その会派に属する議員の共通項部分が質問されるという感じになります。

ある会派に属する全議員の所属政党を数えてみると、複数にわたることがあるのです。しかし、それはあまり問題ではないのです。国政における主張の違いが、地方議会ではあまり関係がないことがあるからです。このため、ある会派には、様々な政党に属する議員がいることになります。

ちなみに、なぜそのように主張が違っても、議員は会派を組もうとするのでしょうか。それは、「会派の人数は多いほど、議会における役職などで有利になる」という心理が働き、複数の議員が集まり、できるだけ他人数の会派にしようとするからです。

この結果、ある会派に属する議員の主張は、結構バラバラということも少なくないのです。しかし、そうした会派であっても、「この考え方・主張で、職員の人件費問題については、執行機関に質問していこう」となれば、その趣旨で質問されるわけです。

そうすると、議員本人が実際にはどのように考えているのかは別にしても、そうした主張で質問がされることになります。こうした時は、会派の幹事長として質問するなど、会派を代表して質問しますので、議員本人の考えとは、実は少し違うこともあり得ます。

しかし、あくまで会派に属する議員としては、そうした質問をせざるを得ないのです。いうなれば、「お役目」として質問をするという感じでしょうか。

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