2 もったいぶる人

困った公務員の傾向と対策

「もったいぶる」とは、体裁を飾り、ものものしく振舞うことを指します。実はたいしたことではないことを、いかにも重いことのような態度をとることを指す言葉ですが、公務員であれば、こういうタイプに遭遇した人は少なくないでしょう。

あまり中身がないのに、単に自分を大きく見せたいという人もいます。例えば、やたら先輩風を吹かす前任者や、何かと教えたがる口うるさい人達です。しかし、こうした人達は、本当の知識や経験がないために、時間の経過とともに、教えられなくなってくるので、あまり実害はありません。

ただ、本当にやっかいなのは、「法規担当一筋」、「福祉畑〇十年」、「人事歴十何年」といった、実際にある程度の経験を持った職員です。こうした経歴を持ち人に、「もったいぶる」タイプの職員が多いように思います(あくまで個人の感想です)。

例えば、事業課で条例、規則、要綱などを作成することがあります。そうすると、実際の起案をする前に、文書担当のところへ行って、事前に内容について相談します。事業課の職員は、要綱などを常に作成するわけではないので、あまり慣れていません。参考になりそうな他の要綱などを見ながら案を作成し、文書担当のところへ持っていくわけです。

その時、先のような「もったいぶる」タイプの職員に当たってしまうと面倒です。「今忙しいから、〇日の×時に来てくれる」と、こちらの都合も聞かず、なぜか勝手に相談日時を指定してきます。加えて、事業課の作成した文書を一瞥し、「ここは用語の使い方が間違っているなあ」、「読点の位置が違うなあ」などと言い、「これは、かなり修正が必要だ」と「私はとても大変オーラ」を発出するのです。

そして、相談日当日。まずは、先のような細かいダメ出しをしてきます。事業課は、こうした文書に慣れていませんから、それはそれで仕方ないのです。しかし、そんなことにはお構いなく、さも「お前、わかっていないなあ」と顔をされますが、ここはじっと我慢して聞くしかありません。

しかし、特に耳障りで、こちらをイラつかせるのは、時折、「ここは、なぜダメなのかわかる?」、「これは、どういう意味なのか、知っている?」など、こちらの知識や能力を試してくることです。これは、なかなかのストレスです。心の中では、「家庭教師の〇〇〇か!」と叫びますが、これまた我慢です。

ただ、公務員歴が長くなると、こうした攻撃を何回か経験することになります。そうすると、「言われっぱなし」に「何とか言い返してやりたい」という、人間としては素直な感情が沸き起こるものです。このため、質問されそうなことなどは予め調べておき、「もったいぶる」人対策として準備しておきます。参考にした文書や公用文書の作成本などで、調べることができるからです。

そして、稀に起こる相手の間違った説明やミスについては、見逃すことなく、すかさず反撃に転じます。「そう仰いますが、〇〇課の要綱では××となっていますよ」、「以前に〇〇については、△△とするようにと言われたのですが」などと、相手をネチネチと揺さぶります。そして、相手がミスを認めたならば、「ああ、こちらの認識で間違いないのですね」とさらっと笑顔で応え、心の中で勝利の雄たけびをあげます。

ただし、実はこちらの認識が間違っていた場合には、さらに「もったいぶる」人を勢いづかせることになるので、注意が必要です。相手のミスを突いたつもりが、実はこちらの認識不足で返り討ちに遭ってしまうのでは、目も当てられません。この手法は諸刃の剣ですので、実際に使う場合には、慎重な上にも慎重に行うことが肝要です。

……と、これまで「もったいぶる」人について述べてきましたが、実はこうした人達とは対立することは、決して得策ではありません。やはり、その知識や経験は、自分の担当業務を円滑に実施するためには、とても有効だからです。このため、多少のウザさと面倒臭さに我慢することは必要でしょう。

そして、「〇〇さんに教えていただいて、良かったです。これで仕事も進みますし、自分の勉強にもなりました!」などと心にもないことを言い、相手をいい気持ちにさせることが、本当のデキる公務員なのかもしれません。結局は、それで仕事も人間関係も円滑になるからです。ただし、「もったいぶる」人の鼻をさらに膨らますことになるかもしれませんが……

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