7 平等取扱いの原則

地方公務員法

1 概 要
①地方公務員法の適用にあたっては、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地、政治的意見、政治的所属関係によって差別されない。
②地方公務員法の「国民」とは、日本国籍を有する者で、外国人は含まない。

2 平等取扱いの原則とは
すべて国民は、地方公務員法の適用にあたっては、平等に取り扱われます。人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によって、または地公法16条5号に規定する場合を除くほか、政治的意見もしくは政治的所属関係によって差別されてはならないとされています(地公法13条)。

これは、憲法14条1項の規定である「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」を受けたものとなっています。

なお、「地公法16条5号に規定する場合を除くほか」とありますが、同条同号には、憲法施行の日(昭和22年5月3日)以降において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者の欠格条項を定めており、具体的には破壊活動防止法によって規制されている団体にかかるものとされています。

このような団体は、国家そのものを否定するものであるため、平等取扱いの原則による保護の対象にはなりません。

また、ここでいう平等とは絶対的平等、画一的平等ではありません。「法が基本的平等の原則の範囲内において、各人の年齢、自然的素養、職業、人と人との間の特別の関係等の各事情を考慮して、道徳、正義、合目的性等の要請により適当な具体的規定を妨げるものではない」(最判昭25.10.11)とされています。

このため、警察官の採用を男性に限ったり、労働時間や休暇について女性を優遇したりすることは、不合理な差別的取扱いではなく、平等取扱い原則の違反とはなりません。

3 地方公務員法における「国民」
地公法の「国民」とは、日本国籍を有する者で、外国人は含みません。このため、日本国籍を有しない者を、公権力の行使または地方公共団体の意思決定に参画する職に、任用することはできません。また、将来このような職に就くことが予想される職の採用試験に、外国人の受験資格を認めることは適当でないとされています(法制意見昭28.3.25)。

外国人が地方公共団体において就くことができる職について、平成17年1月26日の最高裁判所大法廷判決は以下のように判示しています。

「原則として、日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり、我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである」。

なお、公権行使等地方公務員とは、「地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの」とされています。

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