1 概 要
①再任用とは、定年退職者等を1年を超えない範囲内で任命権者が採用すること。
②再任用には、フルタイム勤務と短時間勤務がある。
③当該地方公共団体が構成する組合に再任用する制度もある。
2 再任用とは
(1)再任用制度導入の背景
急速に高齢化が進展する我が国では、以前から社会保障のあり方が大きな課題となっていました。公務員の年金についても、それまで60歳だった満額支給開始年齢が、平成14年度に61歳に引き上げられ、その後も、段階的に引き上げられました(現在の開始支給年齢は65歳)。
こうした年金支給開始年齢の段階的引上げ、および高齢者の知識経験を有効活用する観点から、一定の要件を満たす定年退職者等を再任用する制度が、平成13年4月から施行されました。
(2)制度対象者等
現在、この制度の対象者は、①定年退職者、②勤務延長後の退職者、③定年退職日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮して、これらに準ずる者として条例で定める者、とされています(2023年4月からは、管理監督職勤務上限年齢による降任等の特例(特例任用)が導入されるため、②はなくなります)。
③については、相当の期間を勤務した後、定年退職日前に退職した者で、退職後からそれほど長期間でない間に、定年年齢を超えている者を雇用する場合などが想定されます。また、2023年4月からは、定年前再任用短時間勤務制が導入されます。
任命権者はこれらの者を、従前の勤務実績等に基づく選考により、1年を超えない範囲内で常時勤務を要する職(いわゆるフルタイム)に採用することができます。あくまで任命権者が採用することができるのであって、採用しないことも当然あります。つまり、職員からみれば再任用を要求する権利はありません。
また、再任用は、新たな採用となりますので、本人同意および辞令交付が必要となります。しかし、再任用前の勤務実績により、職務遂行能力は実証されていますので、条件付任用の規定は適用されません。また、任期の更新については、1年を超えない範囲内なら、条例で認める限り、何回でも更新が可能です。
なお、再任用といっても、定年前と同様に一般職として本格的な業務を行い、フルタイム職員は定数に含まれます。
3 短時間勤務職員としての再任用
再任用の形態には、フルタイムの職以外に、短時間勤務の職があります。これは、1週間当たりの通常の勤務時間が、フルタイムよりも短いものをいいます。
こうした職が置かれた背景には、定年後の勤務として短時間を希望する職員も多いことがあります。しかし、短時間といえども、フルタイムの職員と同様に本格的な職であることには変わりはありません。
具体的な勤務時間については、条例で定めることになりますが、国家公務員が15時間30分から31時間の範囲内で定められていることと均衡を図る必要があるとされています。また、短時間勤務職員は、定数外となります。
なお、フルタイム勤務職員および短時間勤務職員とも、分限、懲戒、服務等は定年前と同様の取り扱いとなります。
4 地方公共団体の組合への再任用
再任用には、上記の他、勤務する地方公共団体が構成員となる地方公共団体の組合(一部事務組合、広域連合)での再任用もあります。
つまり、例えばA市の定年退職者が、A市が構成員となるX一部事務組合に再任用されるようなケースです。また、反対にX一部事務組合の定年退職者をA市が再任用職員として採用することも可能です。
この場合もフルタイムと短時間勤務の2種類があります。
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