1 概 要
①人事委員会は、定められた事務を当該地方公共団体の他の機関、または人事委員会の事務局長に委任することができる
②人事委員会・公平委員会は苦情処理の事務を、人事委員会・公平委員会の委員または事務局長に委任することができる
2 人事委員会の権限の委任
人事委員会は、定められた事務を当該地方公共団体の他の機関、または人事委員会の事務局長に委任することができます(地公法8条3項)。
「当該地方公共団体の他の機関」とは、執行機関、任命権者、それら以外の機関でも構いません。例えば、専門的な採用試験の実施を、農業試験場の長や公安委員会に委任することもできます。
「人事委員会の事務局長」については、事務局長が人事委員会の補助機関ですので、補助執行の1つとされています。あくまで事務局長への委任ですので、委員に委任することはできません。
委任できる事務は、人事委員会規則で定めた以下の事務です。
①人事行政に関する事項について調査し、人事記録に関することを管理し、及びその他人事に関する統計報告を作成すること
②給与、勤務時間その他の勤務条件、職員の研修及び勤務成績の評定、厚生福利制度その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を地方公共団体の議会若しくは長または任命権者に提出 すること
③職員の競争試験及び選考並びにこれらに関する事務を行うこと
④職員の給与がこの法律及びこれに基づく条例に適合して行われることを確保するため必要な範囲において、職員に対する給与の支払を監理すること
⑤上記以外のものであって地公法8条1項各号に掲げるものを除く外、法律または条例に基づきその権限に属せしめられた事務
3 苦情処理の権限の委任
人事委員会または公平委員会は苦情処理の事務を、人事委員会・公平委員会の委員または事務局長に委任することができます(地公法8条4項)。委任ができる理由は、苦情処理が迅速かつ弾力的になされるべきものであるためとされています
苦情処理とは、勤務条件に関する措置要求及び不利益処分についての審査請求以外の職員の苦情を指します。こうした苦情の処理は非定型的なものであり、必ずしも合議体として処理することが適当でない場合があるため、委任ができるとされています
なお、事務局長は、人事委員会から委任された権限を再委任することはできません。
コメント