これまで管理職が行う答弁について、考察してきました。今回からは、その対極にある、議員が行う質問に対して考えていきたいと思います。管理職として答弁を失敗しないためには、議員が行う質問の背景などを十分に理解しておく必要があるからです。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」だからです。
議員が、どのように質問を考えているのか。その1つは、時事ネタです。これは、皆さんも簡単に想像ができるかと思います。例えば、ある都市で小学生が通学途中で事故に遭ってしまったことが報道されたとします。
そうすると、「本市における通学路の安全対策は十分なのか」、「通学路の安全点検を行うべきだ」のような質問が、執行機関に対して行われるわけです。これは、とてもよくあることで、一種の流行のようなものでしょう。議員にとってもわかりやすく、また住民に対してもアピールしやすいのです。ちなみに、どこかで大きな災害が発生した時には、災害関連の質問が非常に多くなります。
なお、答弁する管理職の立場になれば、こうした事件・事故のような場合、当然のことながら、首長も「うちの市は大丈夫か?」と気にします。そこで、担当課長としては、市の現状等について首長に報告することが一般的ですので、これがそのまま議会答弁となるわけです。
場合によっては、「もう一度、通学路の安全を確認するように」と、首長から指示されることもあるでしょう。その場合も、「今後、通学路の状況について、再度確認してまいります」のような答弁にもつなげることも可能となります。
時事ネタは、新聞などのマスコミで報道されるものには限りません。先進自治体の取り組みについて質問するということも、よくあります。議員は会派として行政視察に行きます。そのため、その自治体での取り組みを見て、「〇〇市で行っている△△事業を、本市でも実施できないか」というように質問するわけです。
こうした場合、すぐに実施するということは稀です。このため、「研究してまいります」や「今後の〇〇市の△△事業の動向について、注視してまいります」のような答弁になることが多いかと思います。
こうした先進自治体の取り組みも、一種の流行りのようなものですから、これもある意味では時事ネタと言っても良いかもしれません。
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