18 巻き込み力を意識しているか

残業ゼロの仕事術

前項の報連相は、人と人との間の風通しを良くして、円滑なコミュニケーションを構築しようとするものです。これをさらに一歩進めて、他人の力を活用して、さらに効率的に仕事を進め、成果を高めるために活用されるのが巻き込み力です。巻き込み力には、①他人の持つ能力や経験を活用させてもらう、②複数で業務を行うことで組織的に対応することができる、③業務に対応する職員に参加意識が生まれる、などの特徴があります。

まず、①他人の持っている能力や経験を活用させてもらいます。例えば、上司から住民説明会の担当者に指名されたとします。この時、初めて住民説明会に携わるのであれば、周知方法や会場設営などの準備方法、当日の次第、参加者アンケートの作成方法など、わからないことだらけかもしれません。しかし、係内のべテラン職員に聞けば、丁寧に教えてくれるはずです。また、かつて使用したファイルなどももらえるかもしれません。このように、他人の持つ能力や経験を活用できるわけです。

また、②複数で業務を行うことで組織的に対応することができます。担当者として指名されたのはあなたかもしれませんが、先の先輩がいろいろと教えてくれますので、実質的には二人で準備することとなります。そうすれば、例えば先輩が上司とあなたの間に入って、いろいろとフォローしてくれれば「住民説明会の準備」という業務が属人的でなく、組織的に行われることとなります。これは、担当者として有難いはもちろんのこと、何か思わぬ事態が発生しても、組織として対応することが可能となります。

さらに、③業務に対応する職員に参加意識が生まれます。先の先輩は、「頼まれたから、教えるよ」と思っているかもしれません。しかし、実質的には自分もその住民説明会の事務に参加しているように感じるはずです。「すみません、教えてください」と頼られれば、「仕方ないなあ」と言いながらも、意外にうれしいはずです。自分が役に立っていることを感じられるからです。そうすると、もはやチームとしての意識が生まれ、「一緒にやっていこう」と思うはずです。こうなると、先輩も主体的に取り組むようになり、参加意識が生まれます。

このように、巻き込み力の効果は非常に重要です。巻き込み力というと、自分の業務のために他人を巻き込んで利用するかのように考えている人がいますが、それは違います。業務の属人化を防ぎ、組織化を図ることなのです。

ただ、巻き込むとの言葉通り、厳密には巻き込まれる人にとっては担当外のことです。このため、巻き込み力を発揮するためには、それなりの礼儀や技術が必要です。「いいよ、協力するよ」と思われる人でないと、この力を発揮することはできません。なお、巻き込める人は意外に多いのです。土木や福祉などの専門職、法規や人事などのべテラン職員など、自分の部署以外でも可能です。

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