15 組織の視点で自分の仕事を捉えているか

残業ゼロの仕事術

仕事は、自分が担当している部分が済めば、それで終了ということにはなりません。例えば、「地区まつり」について、来年度の予算要求をまとめることが担当業務だったとします。この場合、会場使用料などの確認や、会場設営やイベント実施に伴う業者から見積書の徴収、例年との変更点を町会長に聴取する、などが必要になってきます。

 自分の仕事しか考えていないと、単にこれらを淡々と作業するだけかもしれません。しかし、自分視点だけでなく、組織視点を持っている職員ならば、次のように考えます。「他の係でも、同じ業者から見積書を取るかもしれないので、聞いてみよう」、「明日、係長が町会長を訪問すると言っていたので、その時に変更点を聞いてもらった方が、話がスムーズかもしれない」などです。

結果的に 前者であれば、他の職員の負担を軽減することができますし、後者であれば、自分の作業が1つ減ることになります。組織運営の視点で考えれば、業務を減らすことでき、より効率的になったことになります。

また、仮に、町会長から「地元出身のアスリートの講演会を実施したいので、その費用を確保してほしい」との依頼があったとします。このため、課としては財政課に予算要求をすることになります。予算要求では、最終的に課長が財政課や首脳部に要求内容の説明しなければなりません。

「なぜ講演会を開催する必要があるのか」の説明も必要ですので、担当職員としては事前のそれらの挙証資料(地元とアスリートの関係、アスリートを呼ぶメリット、見込める集客数など)も、準備しておきます。課長から指示がある前に、その準備ができるか否かで、その後の仕事の進み具合が大きく変わってきます。

このように、自分の仕事が組織から見てどのような位置づけにあるのかを理解すれば、より効率的に組織が運営することができます。それは、自分や他人の業務を減らしたり、時間を有効に活用したりできるからです。自分の目の前の仕事だけにとらわれていると、なかなかそれができません。そうすると、結果的に非効率になってしまうことがあるのです。

入庁したての新人職員では、なかなかこうした組織視点は持ちにくいかもしれません。しかし、ある程度の経験を持つ職員であれば、個人・組織の両方の視点から自分の仕事をとらえ、「どうすれば、より効率的になるか」を考えたいものです。それが、個人にとっても、組織にとっても有益だからです。

ちなみに、よく「2つ上のポストから、自分の仕事を考えよ」と言われます。一般職員であれば主任の上の係長、主任であれば係長の上の課長です。そうすると、何が必要なのか、自分に何が求められているのかが、より明確になるのです。

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