55 再議

自治体財政

1 概 要
①再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度
②予算の再議としては、長に異議のある議決に対する再議、違法な予算の議決に対する再議、義務費を削除又は減額する議決に対する再議、非常災害復旧費等の削除又は減額の議決に対する再議がある。

2 再議とは
再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度です。長の拒否権とも言われます。この制度は、議会と長との間に対立が生じたときに、首長の側からこれを調整する手段として認められているものです。二元代表制における特徴的な制度となっています。

一般的拒否権と特別的拒否権の2つに区分できます(地方自治法176、177条)。

一般的拒否権とは、異議があれば発動できるものです。その対象は、以前は条例の制定や改廃、予算に関する議決だけでしたが、現在はそれ以外の議決事件に拡大されています。首長は10日以内に理由を示して再議に付すことができ、議会は審議を行います。過半数の再議決で確定しますが、条例・予算については、出席議員の2/3以上の同意が必要です。

特別的拒否権とは、特別の要件の下で発動しなければいけない、長の義務です。その内容は①違法な議決または選挙、②法令により負担する経費等の削除・減額の議決、③非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費の削除・減額の議決、です。

再議後も同じ議決等の場合は、①については総務大臣または知事に審査を申し立てることができます。②は議決に反し予算を計上することができ、③については首長への不信任議決とみなすことができます。

3 予算の再議
予算の再議については、以下のように分類できます。

(1)一般的拒否権
①長に異議のある議決に対する再議
議会の修正議決が長の意思や政策に反するものである場合に、長がこれを拒否するために設けられた制度です。この場合、この再議を行使するか否かは長の裁量に任されており、再議を行う理由について特に制約はありませんが、否決された予算は再議の対象となりません。再議に付された予算が出席議員の3分の2以上の同意があった場合には、議決は確定します。

(2)特別的拒否権
①違法な予算の議決に対する再議
長の予算提案権を侵害するような増額修正が行われるなど、議会の議決の内容が議会の権限を超え、又は法令等に違反すると認めるときは、長は理由を示して再議に付さなければなりません。同様の議決がなされた場合には、総務大臣または知事に審査を申し立てることができます。

②義務費を削除又は減額する議決に対する再議
生活保護費等の法令により負担する経費や、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費、その他自治体の義務に属する経費を削除し、又は減額する議決があった場合、長は理由を示してその経費及びこれに伴う収入を再議に付さなければなりません。

再議に付しても同様の議決がなされた場合には、長は当該義務費及びこれに伴う収入を原案のまま予算に計上し、執行することができます。

③非常災害復旧費等の削除又は減額の議決に対する再議
非常災害による応急・復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費を削除し又は減額する議決があった場合には、長は理由を示して再議に付さなければなりません。

再議に付しても同様の議決がなされた場合には、長はこれを不信任の議決とみなし、10日以内に議会を解散して住民に信を問うことができます。これは住民にその適否を判断させようとするものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました