43 争議行為等の禁止

地方公務員法

1 概 要
①地方公務員には、争議行為等が禁止されている。
②禁止される行為については、実行行為と助長行為に区別できる。

2 争議行為等の禁止とは
憲法28条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」とあります。この3つは労働基本権または労働三権といわれ、それぞれ団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)となります。争議行為とは、つまり一般にはストライキをする権利といえます。

しかし、地方公務員は全体の奉仕者であるという性格から、労働基本権が制限されています。その制限の内容は、職種により異なりますが、団体行動権(争議権)はすべての職種で禁止されています。

禁止される行為については、大きく実行行為と助長行為に区別することができます

3 禁止される実行行為
実行行為は、次のように区分・整理できます。争議行為等の実行行為をした者については、地方公務員法の罰則の適用はありませんが、懲戒処分とともに、民事責任・刑事責任が問われることがあります。

(1)争議行為
地方公共団体の正常な業務の運営を阻害する行為で、次の3つに区分される。
①同盟罷業
 労働者が組織的に労働力の供給の停止を行う行為で、一般にストライキと呼ばれるもの
②怠業
 職場を占拠したまま意識的に業務の遂行を阻害する行為で、一般にサボタージュと呼ばれるもの
③その他の争議行為
 スト破りやスト参加者の脱落を防止するため職場の入口で見張るピケッティング、勤務時間中に政治的主張を記載したリボンを着用するリボン闘争など

(2)怠業的行為
地方公共団体の機関の活動能率を低下させる行為

4 禁止される助長行為
禁止される助長行為について、地公法37条1項には、何人もストライキなどの違法な行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、もしくはあおってはならないとされています。それぞれの内容は、以下のように整理できます。

なお、このような行為を行ったことが違法となりますので、こうした行為の結果、実際に争議行為等が実行されたかどうかは問題とはなりません。

また、このような争議行為等の助長行為をした者は、何人も地方公務員法の罰則の適用(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)がありますが、これには職員も、職員でない者も含みます(地公法61条4項)。

(1)企て
 争議行為等を実行する計画の作成、そのための会議の開催などをすること

(2)遂行の共謀
 2人以上の者が共同で争議行為等を実行するための謀議をすること、その計画を作成すること

(3)そそのかし
 人に対し争議行為等を実行する決意を促すこと

(4)あおり
 文書・図画・言動によって、職員に対し争議行為等を実行する決意を生ぜしめるような、または既に生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること

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