9 任 用

地方公務員法

1 概 要
①任用とは、任命権者が特定の者を特定の職に就けること。
②職員の任用は、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行われる。

2 任用とは
任用とは、任命権者が特定の者を特定の職に就けることをいいます。地方公務員の身分を有することは職を有していることであり、身分と職は一体のものとされています。休職中や自己啓発等休業をしている職員も同様です。地方公務員法では任命という用語も使われますが、本質的に任用と変わりません。

なお、平成26年の法改正により任用の定義がなされ、以下のように整理されています(地公法15条の2)。
①採用
 職員以外の者を職員の職に任命すること(臨時的任用を除く)
②昇任
 職員を、その職員が現に任命されている職より、上位の職制上の段階に属する職員の職に任命すること
③降任
 職員を、その職員が現に任命されている職より、下位の職制上の段階に属する職員の職に任命すること
④転任
 職員を、その職員が現に任命されている職以外の職に任命することで、昇任・降任以外のもの

3 任用の根本基準と人事評価
職員の任用は、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行われなればなりません(地公法15条)。これを任用の根本基準といい、成績主義または能力実証主義と呼ばれる基本原則です。

この原則は、公務能率の増進のために欠くことのできないものであると同時に、処遇の公正を実現するためにも欠くことのできない条件です。このため、これは任用の根本基準にとどまるものではなく、それ以外の給与の決定などの処遇についても妥当し、実現しなければならない原則とされています。

また、この原則の背景には、人材の確保と育成、人事の公正の確保の2つがあるとされています。

人材の確保と育成は、優秀な人材を得て、それを優れた職員として育てることにより、少数精鋭主義による公務能率の増進を図り、地方公共団体の効率的な行財政運営を推進しようとするものです。

人事の公正の確保は、一般の職員については、猟官主義(縁故や個人的なつながり、信頼関係に基づく情実的な任用)を排除しようとするものです。ただし、副知事や副市町村長の選任などは特別の信頼関係に基づいて行われていますが、それにはその職の性質上、合理性があるとされています。

なお、「受験成績」とは、職員または職員になろうとする者の競争試験及び選考の成績です。

また、「人事評価」とは、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいいます。能力評価と業績評価の二本立てで、評価基準の明示や評価結果の本人への開示などの仕組みが想定されています。

かつては、人事評価でなく勤務評定が用いられていましたが、勤務評定は、「評価項目が明示されない」「上司からの一方的な評価で結果を知らされない」「人事管理に十分活用されない」などの問題点が指摘されていました。

これに対し、人事評価は、能力・業績の両面から評価するもので、評価基準の明示や自己申告、面談、評価結果の開示などの仕組みにより客観性等を確保し、人材育成にも活用するものです。

「その他の能力の実証」とは、職種に応じた免許をはじめ、一定の学歴などがあります。

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