7 住民は、あなた1人だけではありません

格言集

このフレーズは、クレーマー対応時に職員が発するものです。例えば、窓口で住民とトラブルが発生したとします。それは、明らかに住民の勘違いだったのですが、住民は役所の落ち度として文句を言います。だんだんと住民がエスカレートしてきて、大声で怒鳴ったり、職員のことを罵倒したりします。

しかし、職員も負けていません。最初は、丁寧に説明するものの、なかなか住民は理解してくれません。そのため、最終的には「それはできません」と住民の要求を突っぱねたのです。そこで、住民は言いがかりとも取れるような言葉を発して、さらにゴネます。そして、水戸黄門の印籠のごとく言うわけです-「俺は住民だぞ。住民の言うことが、聞けないのか」と。

しかし、住民と職員との関係は、王様と奴隷の関係ではありません。職員が住民に対して絶対服従の立場であったら、とても行政運営などしていけません。王様の数があまりに多すぎて、どの王様に従ったら良いのか、途方に暮れてしまうからです。

そこで、このフレーズの登場です。「住民は、あなた1人だけではありません。もう、十分に説明しました。これ以上、お話することはありませんので、これで失礼します」と。おそらく、実際にはその住民は、その後も窓口で怒鳴り続けることになるでしょうが、職員としては、いったんの区切りとすることができます。

これで諦めて帰ってくれるクレーマーであれば、まだ良いのですが、現実はそうはなりません。秘書室や広聴部門に行って、「〇〇課の△△という職員は、なってない。役所は、住民への対応をどのように考えているのか!」などと、次の舞台の幕が開くことになるのです。そして、その他の職員も舞台に引きずり出されることになるのです。

民間企業でも同様かもしれませんが、現在は、クレーマー対応ができないと、一人前の職員として見られないような気がします。新人職員が、クレーマー対応に困り果て立ち尽くしてしまうのは理解できます。しかし、それに対して、主任や係長が何のフォローもしなかったら、やはり職責を果たしているとは言い難いでしょう。

クレーマー対応の研修は、新人職員にもするべきだと思います。しかし、その研修があまりにリアル過ぎると、正式採用になる前に退職してしまう新人も出てしまうかもしれません。そのため、研修担当は躊躇しているのでしょうか。

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