48 福祉・利益の保護の根本基準と厚生制度

地方公務員法

1 概 要
①職員の福祉および利益の保護は、適切かつ公正でなければならない。
②地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立・実施する。

2 福祉・利益の保護の根本基準
職員の福祉および利益の保護は、適切かつ公正でなければならないとされています(地公法41条)。職員の福祉と利益は非常に大きな概念ですが、地方公務員法第8節では、以下の5つを指します。
①厚生制度(地公法42条)
②共済制度(地公法43条)
③公務災害補償(地公法45条)
④勤務条件に関する措置要求(地公法46~48条)
⑤不利益処分に関する審査請求(地公法49~51条の2)

このうち厚生制度と公務災害補償が福祉の保護となります。こうした福祉の充実については、福祉の保護が結局は使用者や経営全体からみて有効に働くことや、公共的な課題と認識されるようになったため、充実が図られるようになったとされています。

また、勤務条件に関する措置要求と不利益処分に関する審査請求は、利益の保護に該当しますが、これも職員の生活、身分を安定させることにより、公務能率の維持増進に寄与することを目的としたものです。

こうした職員の福祉および利益の保護は、適切かつ公正に行われるということは、情勢適応の原則や均衡の原則の趣旨に準拠して判断されることとなります。

なお、職員の福祉・利益の保護に関しては、法5条1項(条例の制定)および法41条(福祉および利益の保護の根本基準)の規定により、条例で定めることができるとされています(行実昭30.2.15)。

3 厚生制度
地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立・実施することとされています(地公法42条)。ここで示されている厚生制度の内容を整理すると、以下のようになります。

区 分 内 容
保健 健康管理 例)健康診断、人間ドック、カウンセリング、執務環境の整備
元気回復 職員が職務によって蓄積した疲労を解消し、気分転換して明日の活力を養うこと。レクリエーション。 例)運動会、サークル活動、保養施設の設置
その他厚生制度 例)互助会の設置、団体生命保険に対する便宜の供与、サークル活動に対する助成、職員食堂の設置、公務員住宅の設置など

互助会とは、職員およびその家族などを対象とした、経済的負担の軽減や福利厚生の充実のための任意的な互助組織です。事業内容も特に決まっているわけではありませんが、職員の冠婚葬祭についての給付、生活物資の販売・あっせん、レクリエーションの共催、文化事業の実施などが行われます。

互助会の設置にあたっては、条例を根拠することが一般的ですが、これは地方公共団体の重要な厚生制度であることを団体の意思として確定するとともに、条例で設置した場合に税法上優遇されるためです。

なお、互助会の事業に要する経費は、職員の掛金のほか、地方公共団体が助成金を出している場合もあります。

また、公務員住宅の設置の目的は、職員の住宅難に対応するためで、職員の私的生活の便宜を図るものです。民間の社宅と同様に、厚生事業となります。ただし、職員が公共施設に付属して職員が居住を義務付けられているような場合は、業務遂行のために居住しているので、厚生事業とはいえません。

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