39 信用失墜行為の禁止

地方公務員法

1 概 要
職員は、その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉をなるような行為をしてはいけない。

2 信用失墜行為の禁止とは
職員は、その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉をなるような行為をしてはなりません(地公法33条)。これを信用失墜行為の禁止といいます。

服務の根本基準にもありますが、職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しますので、当然のことながら住民の信頼を裏切るようなことを行ってはいけません。職員が非行をして、職自体の信用を傷つけたときは、その職員だけの問題でなく、公務員全体に対して信用を損なうことになります。

公務員に対する世論には非常に厳しいものがあります。これは、公務員の給与を含め行政にかかる経費は、住民の税金により賄われているにも関わらず、その住民の信頼を裏切るような行為が発生してしまうためです。そして、残念なことに、こうした不祥事は毎年必ず発生し、新聞紙上をにぎわせてしまいます。

3 対象となる行為
信用失墜行為の禁止は、職務上の行為だけでなく、私生活の行為も対象となります。つまり、勤務時間外に行った行為も対象となります。

では、具体的にどのような行為が信用失墜行為に該当するのかということが問題となりますが、これには具体的な基準はありません。健全な社会通念に基づいて個々に判断するものとされています。

例えば、職務に関するものとしては、職権濫用(刑法193条)、収賄(刑法197条)などがあります。職務以外のものでは、傷害、飲酒運転、破廉恥行為、違法な賭博を行ったなどがあります。また、来庁者へ粗暴な態度をとったというようなことでも、信用失墜行為の禁止に当たる場合があります。

もちろん、具体的な基準がないからといって、任命権者が恣意的に判断して良いというものではなく、客観的・社会的に納得される判断であることが必要です。

なお、条文にある「その職の信用を傷つけ」とは、当該職員が占めている職の信用を毀損することをいい、具体的には収賄などがあります。また、「職員の職全体の不名誉をなるような行為」とは、職務に関連する非行だけでなく、職務に直接関係のない行為(例えば、飲酒運転)などが該当します。

4 国家公務員倫理法における倫理原則
国家公務員倫理法は、職員が遵守すべき職務に関する倫理原則を定めています。内容は、以下のとおりです。

1 職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者でないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。

2 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。

3 職員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。

なお、これらに違反した場合は、懲戒処分の対象となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました