30 「上司の命令」を鵜呑みにしていないか

残業ゼロの仕事術

公務員も組織の一員である以上、上司の命令に従わなくてはいけません。上司の命令に従わなければ、組織の根本が揺らいでしまいますし、成り立たないからです。しかし、ある程度の経験を重ねていくと、上司の命令や上司本人に対して、「本当にそれで良いのかな?」と疑問に思うことが出てくるのも事実です。具体的には、次のようなケースです。

①公正・公平な住民サービスを提供すべきなのに、課長は首長や議員の意向だけで判断している
②特定の議員や団体の意向が重視され、結果的にそれを反映した予算編成や事業が実施される
③上に従順な職員が重用され、昇進している。上司に何か意見をすると、疎まれて遠ざけられる
④上司を信用できない。上ばかり見て仕事している、自分の意見がない、すぐに何でも部下に仕事を押し付ける、責任を取らずに部下になすりつける

もちろん、上司の命令が違法(業者に見積価格を教える、公金を私的に使うなど)であれば、当然のことながらその指示に従う必要はありません。これは、地方公務員法にも明記されているところです。しかし、難しいのはそうした明らかな違法ではないものの、適切な判断とは思えないような命令に対して、どのように対応するかという点です。

「これ、おかしいな」と思っても、そのまま上司に従う職員も多くいます。実際に、それは違法でありませんし、上司の指示なのですから。そして、ある程度の年齢になると、自分の意見を持たなくなり、ただ上の指示に従順なだけの職員が増えていくことも事実でしょう。昔は優秀な職員で、他の職員からも人望があったものの、昇任するにつれて上の意向だけを気にするようになり、人望もなくなっていったなんてことも実際にあります。

言い方は悪いかもしれませんが、昇任したいのであれば、上の意向に沿うだけのイエスマン(今だと、イエスパーソンでしようか)になった方が楽なのです。上の意向が正義なので、自分で考える手間はなくなります。また、昇任すれば、部下に指示・命令ができますので、権力をふるうことができるのです。

しかし、本当にそれで良いのでしょうか。そうなることが、公務員を目指した理由だったのでしょうか。実は「残業ゼロ」を実現するためにも、上司の指示を無批判で受け入れた方が楽な時もあります。

しかし、それは本来あるべき住民サービスとは異なったものになってしまうかもしれません。上司の命令だからと鵜呑みにし、その時は何もなかったとしても、後日、審査請求や住民監査請求などが提出された場合、それに対して堂々と言い返せるでしょうか。そうすると、本当の意味での「残業ゼロ」にはならなくなってしまいます。やはり、常に自分の頭で考え、自分の意見を持つことが必要だと思います。

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