仕事の洗い出しが終わり、自分が行うべき仕事を把握したとします。すると、次に行うことは、その仕事の完成イメージ、仕事の出来上がり具合を確認することです。仕事の洗い出しが仕事の「量の問題」だとすれが、こちらは「質の問題」と言えます。
例えば、あなたが課の庶務担当だったとします。新年度になり、課長から「今年、異動してきた職員を対象に、市内の関係施設の見学会を実施してほしい。そこで、そのための準備をしてくれ」との依頼があったとします。この1つの業務だけでも、事前に次の点を確認しておく必要があります。
①日程調整 ・・・新人職員の研修日との重複を避ける、施設の担当者に受入れ可能な日を確認する
②移動方法 ・・・庁有バスか、もしくは借り上げバスか
③ルート ・・・効率的に施設を見学するためのルートの設定、昼食場所の検討
④周知文書 ・・・対象者の周知文書を作成
単に施設見学会の実施であっても、このような点を確認しないと、仕事が終わったとはなりません。もし、日程を新人職員の研修日と同じ日に設定してしまったら、新人職員は参加できなくなってしまいます。これでは、施設見学会の意味はありませんので、仕事をやり終えたということにはなりません。結果的には、課長の依頼に応えられていないわけです。先のような点をクリアした上で、施設見学会を設定することで、ようやく仕事が終わったことになるわけです。
この仕事の完成イメージが、きちんと描けていない人がいます。例えば、「昼食は、参加者が自分で準備するものだ」と勝手に思い込んでしまい、周知文書に何も言及されていないとします。そうすると、参加者たちは「昼食を買ったり、弁当を食べたりする場所があるのか」がわかりませんので、参加者への周知不足になってしまうわけです。これは、職員の想像力が不足していると言えるでしょう。
また、この仕事の完成イメージに、上司と職員の間でズレが生じることがあります。例えば、先の依頼をした上司は、市内の様々な施設を見学してもらうことで、異動者に十分に学んでもらいたいと思っていました。
しかし、依頼を受けた職員は、「せいぜい2、3か所で十分だろう」と勝手に判断してしまったとします。このように両者の認識にズレがあると、依頼した上司のオーダーに応えたことにはならず、やはり仕事が終わったということにはなりません。これは、職員が上司に完成イメージを確認しなかったからです。このように、仕事の完成イメージ、仕事の出来上がり具合を確認することが重要となります。
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