25 繰越明許費 

自治体財政

1 概 要
①繰越明許費とは、事情により年度内に支出が終わらない事業について、翌年度に繰り越して支払う場合、この支出限度額のことをいう
②事故繰越とは、やむをえない事情によって、年度内に支出ができなかったものについて繰り越すもの。

2 繰越明許とは
事情により年度内に支出が終わらない事業について、翌年度に繰り越して支払うことがあります。この繰り越す支出限度額を繰越明許費として、予め定めておきます。

例えば、整備中の市民センターが令和5年3月工事終了予定だったのが、地中に障害物が発見されたため工事が遅れ、工事終了が5年6月に変更となりました。支払に必要な予算は4年度予算に計上しているのですが、工事が終了していないので、支払いは5年度になってしまいます。

このため、4年度の補正予算で、この支払いに必要な額を繰越明許費として定めておくのです。これにより、4年度の歳出予算を5年度に支払うことが可能となるのです。補正予算で繰越明許費として計上されるということは、議会の承認を得て、予算を繰り越すということです。

ちなみに、この繰越明許は、「繰り越すことが明らかに許された」と覚えておくと、わかりやすいかもしれません。

3 事故繰越とは
繰越明許に類似したものに事故繰越というものがあります。事故繰越は、やむをえない事情によって、年度内に支出ができなかったものについて繰り越すものです。

例えば、年度末に完成予定だった保育園が、年度末の震災により工事が遅れてしまうようなケースです。想定できないため繰越明許とはならないのです。

なお、繰越明許と事故繰越を比較すると、次のような整理ができます。

 繰越明許事故繰越
対象歳出予算の経費歳出予算の経費で具体的な金額に関するもの
内容予め年度内に経費を使用し終わらないおそれがあることが予想されるもの。当該年度で全く未使用の場合も対象予め繰越は予想されなかったものの、年度内に経費の金額の使用が終わらない事実に対して行われること
要件経費の性質上又は予算の成立後の事由に基づくこと避けることのできない事故のため
予算予算で定めること予算で定める必要はなく、予算執行段階において行われるもの
支出負担行為不要必要
予算上の取扱い当該年度予算では不用額となる。翌年度予算では、繰越額となり、既定予算などと合わせ予算現額となる同左

なお、繰越明許費・事故繰越とも、翌年度の5月31日までに繰越計算書を調製し、次の会議において議会に報告しなければなりません。

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