24 昇任論文の悪い例④ 読みにくい文章

論文対策

論文は、採点官に読まれて評価されます。このため、採点官にとってわかりやすい文章であることは、とても重要です。しかし、実際には「読みにくい文章」は、結構あります。

<ポイント>
読みにくい文章
1 一文が長い文章
2 一度では理解できない文章

1 一文が長い文章
例えば、次のような文章です。

2020年初頭から新型コロナウイルス感染症の影響が人々の生活や行動に大きな影響を与え、私たち日本人には大きな衝撃を与えるとともに、自治体は住民サービスの縮小、施設の閉鎖、また景気低迷により税収減など、自治体運営に大きな影を落とした。

このような文章を読むことは、採点官にとって苦痛です。一文が長いため、意味を理解するのに時間がかかります。

また、先の文章であれば「自治体は」の主語に対応する述語が存在せず、日本語としてもおかしい文章になっています。この文章であれば、2つの文にすれば、わかりやすくなります。

なぜ、このような文章になってしまうのでしょうか。その理由の1つは、受験生に「論文だから、難しそうな文章を書かなくてはならない」という意識があるように思えます。

実は、先のような文章は悪文なのですが、「一見難しそうな文 章が、良い文章である」という誤解があるように思えます。こうした誤解は、日頃は文章を書かない人に多いように思えます。

2 一度では理解できない文章
例えば、次のような文章です。

住民ニーズという地域住民の切実な要求がある一方で、3割自治とも言われた構造的な瑕疵を抱える自治体財政の現状を鑑みると、この両者をアウフヘーベンすることが重要な課題であることは否めない事実を言わざるを得ない。

もはや意味不明です。しかし、このような文章が、本当に良いと思って書いている受験生は実在します。表現が回りくどい、使用している用語が独特、学者気取りの文章、文学的表現などは困るのです。

基本的に真面目な採点官からすれば、「何とか意味をしよう」と努力しますので、なんとかこうした文章を解読しようとするのですが、やはりそれも限界があります。

ちなみに、最も困るのはこうした論文の添削を依頼された時です。本人は「良い文章だ!」と思って書いていますので、添削者として「これでは、意味がわからないよ」とやさしく教えるのと、逆ギレされることがあるのです(事実です)。

「この文章の意味を理解できないんですか!?」と添削者に詰め寄る受験生もいるくらいなのですが、こんな時は添削をお断りさせていただきます。

論文の書き方は、次の書籍がおススメです!

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