論文の一行目を読んだだけで、「この受験生は、論文の勉強をしていないな」とわかるものがあります。それは、論文の表現でわかるのです。
<ポイント>
1 常体で書く
2 敬語は使わない
3 お役所言葉を使う際には注意が必要
1 常体で書く
まず、論文では、「~だ」、「~である」などの常体の表現を用います。
このため、「~です」、「~ます」などの敬体の表現を使っている論文であれば、過去の合格者の論文や市販の書籍を読んでいない証拠です。
このため、この敬体を使っているだけで、採点官の論文に対する印象は一変してしまうでしょう。そもそも論文は、大学の卒業論文であれ、研究者の論文であれ、常体で書かれています。
公務員採用試験の論文も、常体で書いていたはずです。昇任論文だけ敬体を使うことはありません。
2 敬語は使わない
また、論文では敬語は使いません。敬語は、現在5種類ありますが、いずれも使用しません(文書・資料作成術 8 敬語の使い方参照)。
例えば、高齢者を「ご高齢の方」、市民を「本市にお住まいの方」などとは、論文では表記しません。
主任論文で「係長に事務改善を申し上げる」、「町会長の意見を拝聴する」などのように、謙譲語も無意識に使用してしまうこともあるので注意が必要です。
あくまで行政の実務担当者としての論文なので、「係長に事務改善を伝える」、「町会長の意見を十分に聞く」などの一般の表現で構いません。
3 お役所言葉を使う際には注意が必要
お役所言葉とは、日本の行政で用いられている公文書、法律、条例などに特有の表現スタイルで書かれたものを指します。
具体的には、次のようなものです。
①鋭意努力するなどのあいまいな表現
②アカウンタビリティなどのカタカナ語・外来語
③ADHDなどの略語
④「還付する」などの法令用語
⑤「行革計画」などのその自治体特有の略語
これらのお役所言葉は、すべてダメということではありません。例えば、アカウンタビリティ、ADHDなどは、広く用いられています。ADHDを「注意欠陥・多動性障害」などと言う方が、かえって違和感があります。
このため、お役所言葉を用いる場合には、採点している管理職が読んでも違和感がないかを基準にします。
ちなみに、横文字やビジネス用語の多用も避けましょう。
「MTG開催前には、アジェンダを参加者に通知するとともに、サマリーをシェアする。こうすれば早くコンセンサスを得られると共に、ボトルネックのマターのソルーションにも役立つ」
このような文章は、もはや採点官への嫌がらせです(笑)
論文の書き方は、次の書籍がおススメです!
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