22 住民参加型市場公募地方債 

自治体財政

1 概 要
①住民参加型市場公募地方債とは、住民の行政参加意識の高揚などを目的に自治体が発行する債券
②現在発行団体は減少傾向にあり、国債金利の低下に伴い金融商品としての魅力が減っている、対象とする事業が減少している、PR不足などが課題として指摘されている

2 住民参加型市場公募地方債とは
住民参加型市場公募地方債とは、地方債を借入先(貸し手)で分類した場合の民間等資金における市場公募資金であり、自治体が債券を発行し資金を調達する市場公募債の1つです。一般的に、その債券の購入者を発行する自治体の個人や法人に限定していることが多いのが特徴です。

自治体がこうした債券を発行する場合には、住民の行政参加意識の高揚や、住民に対する施策のPRなどがその目的となっています。

例えば、ある自治体で公共施設を整備する際に、資金調達の方法の1つとして、この住民参加型市場公募地方債を発行するのです。これにより、公共施設のPRをすることができますし、住民の行政への参加意識を高めることもできます。

また、一般的にこうした公募地方債は一般的な金利よりも高く設定していることが多いことから、住民から見れば有益な金融商品となり、有効な資金運用にもなります。

平成13年度に群馬県が「愛県債」を発行したのが始まりで、平成18年度には全国で124団体が発行しました。しかし、その後は減少傾向が続き、売れ残りが生じている団体もあります。なお、令和4年度の発行団体は4団体に留まっています。

3 住民参加型市場公募地方債の内容
住民参加型市場公募地方債の内容としては、以下のような点が指摘できます。

①購入対象者
住民の行政参加意識高揚という目的から、当該自治体内に居住する個人や法人に購入対象者を限定してことが多い

②販売方法
販売方法としては、窓口販売(住民が直接取扱金融機関に行き、購入する方法)と抽選販売(インターネットやハガキ等で申込み、当選した者に販売する方法)の2種類。

③特典
購入者に、プレゼントの進呈や、施設の招待券、イベントのチケットを販売するなどの特典を付与している例もある

④発行年限
5年が主流となっている

⑤利率
国債などの利率に上乗せしている例が多い

⑥対象事業
道路・橋梁・河川の整備、公共施設耐震改修、小学校の体育館整備、保健福祉センターの整備など

4 メリット・デメリットと課題
住民参加型市場公募地方債のメリットとしては、住民の行政参加意識の高揚や、住民に対する施策のPRなどがあります。

デメリットとしては手数料が高いことや、事務が煩雑な点が指摘されています。金利の上乗せも住民からすればメリットですが、自治体から見れば財政負担となります。

現在、住民参加型市場公募地方債を発行する団体が減少していますが、これには①国債金利の低下に伴い金融商品としての魅力が減っている、②対象とする事業が減少している、③PR不足、などが課題として指摘されています。

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