「議員が、職員に質問を作らせる? そんなことあるのか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際にはあります。私自身、これまで質問を作った議員の数は、あまりに多くて覚えていないほどです。1つの自治体でそうなのですから、全国の自治体(もしかしたら国も?)では、推して知るべしでしょう。
ちなみに、私自身は経験ありませんが、部長時代、部下であった課長に尋ねたところ、最近では与党系だけでなく、野党系議員、しかも若手議員の質問も作成しているそうです。これは、非常に驚きました。だいたい市職員に質問の作成を依頼するのは、与党系の長老議員が多く、野党系議員が依頼することはありませんでした。
それが、最近では野党系の議員の質問を、課長が作成しているというのです。もちろん、内容としては、執行機関を批判する内容にしなければならず、そうしたことを担当課長自らが作成しているとは、もはや驚きというか、お笑いの範疇かもしれません。
かつて野党系議員は、当局と対立関係であることを強く打ち出していました。そのため、野党系議員に対して、当局側から積極的に情報提供することはありませんでした。だからこそ、野党系議員はよく勉強されていました。よく内容を理解していなければ、的確な批判をすることはできないからです。
もちろん、当局側から見れば、的外れに感じる質問も結構ありましたが、野党系議員の質問の中には、「確かに、そのとおり!」と思うこともありました。やはり実態を良く見て、勉強されているだけあって、指摘する内容が鋭いのです。
もし同様の質問が与党系議員からされていれば、実現していた内容かもしれません。しかし、野党系議員からされた質問であるがために、予算化・事業化することが難しくなってしまうのです。まさに、それは大人の事情(?)です。
「議員が自分で質問を作成しないのは、議員としての本分を果たしていない」という主張は、仰るとおりだと思います。しかし、市職員が質問を作成することが、全くダメなことかと言えば、必ずしもそう断言できないこともあります。
議員の気付いていない課題を、執行機関側が解消したいと考えることがあります。ただし、その政策の実現に当たっては、議会側の後押しも必要なことがあるのです。そうした場合は、執行機関側から議員に質問を依頼するということがあるからです。そうすることで、結果的に広く住民福祉の向上が図られることがあるのです。
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