10 辞令をもらったその日から、プロとして振舞え

格言集

かつて「辞令をもらったら、もうずっと以前からその部署の職員であったように振舞え」ということが言われました。これは、辞令によって新たな役割をもらったのだから、その瞬間から、その立場に徹せよという意味です。

現在の若手職員からすると、大きな違和感を覚えるかもしれませんが、かつて、このような出来事がありました。ある職員(仮にAとします)が、事業課の庶務担当から財政課に異動しました。Aは後任のBに引継ぎを行い、これまでの予算要求の内容や査定結果についても説明しました。

その後、予算要求の時期になったのですが、その事業課の財政課の担当者は、前任のAでした。そのため、Bは「これまでの経緯を知っているから、良かった」と安堵して、例年と同様の予算要求を行ったのです。

しかし、実際の予算要求の場面になると、事態は一変しました。なんとAは、「この事業に関する予算については、まだ余裕があるはずだ。だから、減額だ」と、厳しく査定し始めたのです。

そこで、Bが「Aさんの説明のとおりに、予算要求しているんですよ」と抗議すると、すかさずAは「もう立場が違うんだから。事業課として、きちんと説明してくれなければ、予算はつけられない」と突っぱねたのです。ひどいと思われるかもしれませんが、このようなシビアな職員は少なくありませんでした。

また、公務員であれば、民間企業の友人などから「よく、そんなに担当業務がころころ変わるな」と驚かれたことがあると思います。ケースワーカーだった職員が情報システム担当になったり、昨日まで人事課にいた人間が4月1日から図書館に異動になったりするからです。こんなことは自治体の異動では、普通にあることです。

従前、公務員に求められているのはゼネラリストでした。どのような業務であっても、卒なくこなすことが求められたのです。しかし、現在では複線型人事制度が叫ばれるようになって、ゼネラリストでなくスペシャリストを育てることも求められるようになりました。

公務員人生を考えた場合、確かに全員が全員、ゼネラリストにならなければならないというのは、やはり無理があるような気がします。仮に、一般行政職で採用されたとしても、スペシャリストを目指した方が幸せだということもあると思うのですが、いかがでしょうか。

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