10 欠格条項

地方公務員法

1 概 要
①欠格条項とは、地方公務員の不適格者を排除する規定
②地方公務員法16条に明記

2 欠格条項とは
(1)欠格条項とは
職員となること、あるいは職員としての地位を存続するためには、一定の資格が必要です。また、地方公務員には、住民からの信頼が必要であり、不適格者は排除する必要があります。その不適格者を排除する規定が欠格条項となります。

具体的には、(2)に掲げる者です。これらの者については、条例で特例を定めた場合を除いては、職員になること、または競争試験もしくは選考を受けることができないとされています。

欠格条項該当者は、競争試験または選考に合格しても、上記に該当することとなった場合は採用されません。また、職員となった後に該当した場合は、職を失うことになります。

(2)具体的内容
①禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
刑の種類には、主計(死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料)と付加刑(没収)があります。禁錮以上の刑とは、死刑・懲役・禁錮を指します。

「刑に処せられ、その執行を終わるまでの者」とは、刑の言渡しを受け、その刑が確定してから刑の執行が終わるまでの期間内にある者をいいます。

「その執行を受けることがなくなるまでの者」とは、刑の言渡しを受けたにも係わらず、その執行を受けず時効が完成しない者、仮出獄中の者、刑の執行猶予中の者をいいます。

禁錮以上の刑に処せられた者が地方公務員として公務に従事することは、公務に対する住民の信頼を裏切るものです。また、当該地方公共団体の公務一般に対する住民の信頼が損なわれるおそれがあります。

このため、こうした者を除外することは、憲法14条1項(法の下の平等)と地方公務員法13条(平等取扱の原則)の違反には当たらないとされています。

②当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
懲戒免職となった者は、公務員として適格とは言えません。ただし、本人の反省を期待しているため、欠格条項の該当期間を2年を限定しています。

この規定は、懲戒処分を受けた当該地方公共団体になることはできないとしていますが、他の地方公共団体の職員になることは、処分を受けてから2年以内であっても、可能とされています(行実昭26.2.1)。

③人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、第60条から第63条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
人事委員会・公平委員会の委員は、地方公務員法の施行について重大な責任を負いますので、こうした委員が地方公務員法違反によって刑に処せられたときは、著しい義務違反となります。具体的な罪としては、平等取扱いの原則違犯、守秘義務違反、勤務条件に関する措置要求の妨害などがあります。

「刑に処せられた」とは、刑の言渡しを受けたことをいい、現実に刑の執行を受けることは意味しません。

④日本国憲法 施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
公務員は、日本国憲法を尊重し擁護する義務を負うものであり、憲法またはその下に正当に成立した政府を暴力で破壊しようとする団体を結成したり、その一員となることは職員としてはあるまじき行為です。このような者は絶対的欠格者となります。

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