1 昇任試験を受験するか否か、迷ったとき

昇任について

人によっては、昇任試験を受験するべきか、それとも受験しない方がいいのか、迷うことがあると思います。そのような時の判断材料を、何点かお示ししたいと思います。

第一に、生涯賃金の差です。現在、昇任したいと考える職員数が減っています。そのため、各自治体では「昇任する職員」と「昇任しない職員」との間の給料の差が広がっています。簡単に言えば、「昇任する職員には高い給料を出すけど、昇任しない職員には出さない」ということです。

これは、生涯賃金だけでなく、定年後の年金にも反映します。残念ながら、金銭によって、その人の生活スタイルは、ある程度決められてしまいます(実家に資産があるなど、別に資産があるならば話は違ってきますが…)。この経済的な側面を、どのように考えるかが判断材料の1つです。

第二に、年下の上司、かつての後輩が上司になる、などが気にならないかということです。昇任しないことを選んだ場合、いずれこうした事態を迎えることになります。「上司も部下も、それぞれの役割に過ぎないから、気にならない」との割り切った意識を持てるなら良いでしょう。

しかし、場合によっては、先のような上司が、理不尽な指示をしてくるかもしれません。それでも、「ふざけるな!」などと思わずに、やり過ごせる気持ちが必要となってきます。

第三に、定年直前の課長は、結構たいへんということです。仮に、比較的ゆっくりと昇任するとした場合、50代で課長になることがあります。確かに、職員としてはベテランですが、50代から議会対策について学ぶというのは、結構大変です。なぜなら、そこから議員と個人的関係を構築していく必要があるからです。

また、課長は、課のリーダーとして業務の中心になるだけでなく、部下のマネジメントなど、最も忙しいポストになります。こうしたポストを50代でこなすのは、結構大変なのです。それならば、早く課長になって苦労した方が、後々楽になるかもしれません。

第四に、子供や配偶者などの家族の目、同期などの他の職員の目が気にならないかということです。昇任理由が、「娘の結婚式の時には、管理職として紹介されたい」という人がいました。この心情も、何となくわかる気がします。

また、配偶者も同じ自治体職員の場合には、もっと露骨に「せめて係長には、なってほしい」と言われるかもしれません。さらに、同期の多くが係長になっているのに自分が主任のままだとしたら、「同期に、どのように思われているのだろうか」と考えてしまうかもしれません。他の人の目は、全く気にならないのなら良いのですが、そうでないならば、ある程度考えておく必要があるかもしれません。

いずれにしても、昇任するか否かは、最後は自分で決めるしかありません。ただ、その時の気分だけでなく、長期的な視野で考える必要があります。

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