2つ上の役職の立場から考えるとは、主任であれば、係長の上にいる課長の立場で考えることを指します。係長であれば、課長の上にいる部長の視点で考えるということです。
なぜ、このような視点が大事なのでしょうか。それは、自分の仕事を俯瞰して見ることができるからです。そうすると、自分の仕事が与える影響や、組織における位置づけなどが明確になってきます。2つ上の役職にいる課長や部長の視点になることで、その職員にとっては重要な気づきを提供してくれるはずです。
一方で、この格言は「自分視点ばかりで、業務を考えるな」というアドバイスにもつながります。自分の狭い視野だけで物事を考えていたら、組織やチームとして成果を上げることはできませんし、円滑な組織運営にとっても支障になってしまうでしょう。
ちなみに、この格言の意味することは、「上に従順でいろ」とか「上の指示に従え」とは、別なことです。例えば、係長が課長に命じられて、議会答弁を作成していたとします。その際に、課長から手直しが入り、「〇〇について検討します」とあるが、「〇〇を実施します」と断定して構わないと言われたとします。
そこで係長が、次のよう考えました。「確かに自分の課だけを考えれば、そのように断定もできるが、議会で実施しますと答弁してしまうと、この〇〇に関係する隣の△△課にも影響を与えてしまうのではないか」と。
そうすると、課長に再考を求めることになるかもしれません。これは、やはり係長が部全体の視点を持っていたからこそ気付けるものであって、課長と同じように自分の課のことしか考えていなかったら、思いつかなかったかもしれませせん。
このように、幅広い視野を持ち、適切な判断ができるようになるためには、やはりこの「2つ上の役職の立場から考える」のは、とても有益だと思うのです。残念ながら、現在は自分の抱える業務を処理するので手一杯の職員が多く、なかなかそこまで意識するような職員は少ないかもしれませんが……
ちなみに、部長職の2つ上のポストは首長です。そうすると、まさに全庁的な立場から、様々な判断をすることが求められることになります。しかし、実際には、首長の視点になるからこそ、「首長に怒られないために、どうするか」ばかりを気にする部長が多いように感じるのですが、気のせいでしょうか。
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